2020年4月28日火曜日

毛皮も頭骨もあるんだが、、、いない ~ マロジ

(image credit by F.W. Frohawk)

■いるのは確実にわかっている、だが見つからない ~ マロジ

(ライガー (1904年))

オスのライオンとメスのトラから生まれたハイブリッド個体はライガー (Liger) と呼ばれます。

オスとメスが入れ替わり、オスのトラとメスのライオンから生まれたハイブリッド個体はタイゴン (Tigon) と呼び方が変わります。

上記のライガーやタイゴンなどはわりと有名かと思います。

(レオポン)
(image credit by TRJN)

ではオスのヒョウとメスのライオンから生まれたハイブリッド個体は?

答えはレオポン (Leopon)、オスとメスが入れ替わるとライパード (Lipard) となります。

下表がヒョウ属、トラ、ライオン、ジャガー、ヒョウの異なる種同士のハイブリッド個体の呼び方一覧です。

(image credit by Wikipedia)

ハイブリッドは12パターン存在し、メスの呼び名を (+ness) 含めれば24パターンの呼び名が存在します。

名前の規則は原則に「オスの英名の前半部分」+「メスの英名の後半部分」です。

冒頭の例で言えば、

オスのライオン (Lion) x メスのトラ (Tiger) = Liger
オスのトラ (Tiger) x メスのライオン (Lion) = Tigon

さて本題であるUMAの話に移りましょう、西アフリカで目撃される大型猫科系UMAにマロジ (Marozi) という生物がいます。

マロジはまたの名をスポッテッド・ライオン (spotted lion 「斑点のあるライオン」) といい、その正体をライオンとハイエナのハイブリッドだといいます。

スポッテッド・ライオンというのがこのUMAの特徴を端的に言い表しています、すなわち斑点 (斑紋) のあるライオンです。

とはいえライオンとハイエナは属が異なる上に敵対関係にあるこの2種間で交雑 (属間雑種) が起きるとは到底考えにくいところです。

そこで考えられるのが冒頭に掲げたヒョウ属同士のハイブリッド個体です。

冒頭のヒョウ属のハイブリッドの例に従えば、マロジレオポンもしくはライパードのいずれかのはずです。

これにて一件落着、めでたし、めでたし、、、とはなりません。

ライオンとヒョウは野生下において敵対関係にあるだけでなく、力関係に圧倒的な差があり、野生下でいままでに両者のハイブリッド個体は確認されたことがないからです。

レオポンやライパードは動物園のような人工飼育下においてやっとこ誕生できる個体と考えられています。

とはいえ非常に少ないながら、マロジの生きている姿の目撃情報も存在します。

目撃情報によれば、マロジが生息しているのは標高10000フィート (約3000メートル) 以上の高所で、その姿は簡単に言えば体に斑点を持つライオン、ヒョウより大柄でライオンより小柄であるといいます。

オスライオンのトレードマークであるタテガミはオスであっても持たないといわれています。

(マロジの毛皮)
(image credit by Escobarbarian)

しかしマロジは目撃証言だけでなく、実際にマロジのものといわれる毛皮や頭骨といった「物的証拠」も存在します。

DNA鑑定すればより詳しい情報が得られると思われますが、未だにそのような動きはありません。

それではマロジの正体はなにか?

まず、ライオンとハイエナのハイブリッドはまず考えられません、シルエットが大きく異るハイエナの誤認もまずないでしょう。

有力視されるものとしてライオンの幼体には斑点があることから、単に幼体を誤認したというもの、もしくは成体になっても斑点が取れない (消えない) 突然変異個体では?といった説があります。

また確率はかなり低いものの山岳地帯に適応したライオン (の亜種)、そして冒頭に挙げたライオンとヒョウのハイブリッド (レオポン・ライパード) 等が挙げられています。

1930年代以降、地元住民以外での目撃は完全に絶えていることを考えると、未発見のライオンである可能性はかなり低そうです。

ちなみに未確認動物学者ベルナール・ユーベルマン (Bernard Heuvelmans) 氏はマロジに対し新種の生物としてレオ・マキュラトゥス (Leo maculatus) という学名を提唱しました。

なお毛皮はあるのに実物は見つかっていない同様のUMAにはアンデスオオカミマクファーレンズ・ベアがいます。

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