2020年1月26日日曜日

数奇な運命をたどる謎の巨大グマ ~ マクファーレンズ・ベア


■数奇な運命をたどる謎の巨大グマ ~ マクファーレンズ・ベア

巨大なクマと聞いて思い浮かべるクマは?

多くの人はホッキョクグマ (Ursus maritimus)、コディアックヒグマ (Ursus arctos middendorffi)、ハイイログマ (グリズリー) (Ursus arctos horribilis) のいずれかを候補に上げる人が多いのではないでしょうか。

しかし、これらよりも大きなクマが近年まで、もしかすると現在も存在しているとの情報があります、マクファーレンズ・ベア (Mcfarlane's Bear) です。

19世紀なかば、ナチュラリストのロバート・マクファーレン (Robert MacFarlane) ことロデリック・ロス・マクファーレン (Roderick Ross MacFarlane) はイヌイットたちから巨大なクマを殺した話を聞きます。

旅先で聞く武勇伝、多くの場合誇張されており鵜呑みにできるものではありません。

しかしこの話は違います、なぜならイヌイットたちはその射止めた巨大グマの頭骨と毛皮をマクファーレンに手渡したからです。

頭骨は見慣れたクマのそれとは異なり奇妙な形をしていました。

毛皮はホッキョクグマに似ているものの、黄色みがかったクリーム色、やはりホッキョクグマとは異なるようでした。

早速、マクファーレンはこの謎の巨大グマを調査してもらおうと、イヌイットから受け取った頭骨と毛皮をスミソニアン研究所に送ります。

世紀の大発見か?ワクワクしながら調査結果に期待を膨らますものの、待てど暮らせどマクファーレンに連絡はありません。

所詮は素人のナチュラリストから送られたいかがわしい標本に違いないと思われてしまったのでしょうか、スミソニアン研究所は受け取ったことをすっかり忘れてしまっていたのです。

マクファーレンがスミソニアン研究所に毛皮と頭骨を送って半世紀以上もたった1918年、それはマクファーレンが亡くなる2年前のことです、動物学者にして民俗学者でもあるクリントン・ハート・メリアム (Clinton Hart Merriam) 博士は偶然にも倉庫に眠るマクファーレンズ・ベアを「発見」します。

クリーム色の毛皮から受ける印象は「ホッキョクグマの亜種」でしたが、頭骨を調べた限りハイイログマに近いことがわかりました。

しかしハイイログマでもありません。

メリアム博士はホッキョクグマやハイイログマの属すクマ属 (Ursus) には当てはまらない新種のクマとして、マクファーレンズ・ベアに新たな属を用意しベトゥラルクトス・インオピナトゥス (Vetularctos inopinatus) という学名を与えました。

しかしマクファーレンズ・ベアは新種の巨大グマに落ち着いたわけではありません。

メリアム博士がホッキョクグマとハイイログマの両方に似ているものの、いずれでもないという鑑定は、逆に言えばホッキョクグマでありハイイログマである、つまりハイブリッド (交雑種) なのではないか?という疑念もわきます。

で、実際そんなことが自然下であり得るのか、というとあり得るらのです。

ホッキョクグマとハイイログマのハイブリッドはマクファーレンズ・ベアのようにどっちともつかないクリーム色の毛をしており、頭骨の形状もやはり中途半端な形状をしているといいます。

マクファーレンズ・ベアの頭骨と毛皮はメリアム博士の鑑定後、再度紛失していた噂がありましたが再々発見されており、科学者等による再々評価からただのヒグマであるといった説や、やはりホッキョクグマとハイイログマのハイブリッド説が有力と言われています。

DNA鑑定なら一発だと思いますが、いまのところ鑑定の予定はないようです。

夢をそのままに、鑑定しないでおくのもひとつの手です。

(参考文献)
Cryptozoology A to Z (Loren Coleman, Jerome Clark 著)

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