「海の牛」と書いて「海牛 (カイギュウ)」、英語のシー・カウ (sea cow) をそのまま直訳したものです。
ジュゴン目とも呼ばれ、ジュゴンそしてマナティの仲間を指します。
ジュゴン (Dugong dugon) は大型個体でも通常3メートル、450キロぐらいですが、最大では4メートル、1トンの記録があります。
意外にもマナティの方が大きく、最大種であるアメリカマナティ (Trichechus manatus) は大型のものは4メートル、1.5トンぐらいでに成長し、最大は4.6メートル、1.6トンの記録があります。
かなり巨大ですが、やはり巨大なカイギュウと聞いて多くの人がゲオルク・ヴィルヘルム・シュテラー (Georg Wilhelm Steller) の発見したステラーカイギュウ (Hydrodamalis gigas) を思い浮かべるのではないでしょうか。
発見後、わずか27年で狩りつくされた悲劇の巨大カイギュウです。
諸説ありますが体長は7~10メートル、体重5~12トン (20トン以上と推定する研究者もいます) もあったと推測され、現世のカイギュウ類はまったく太刀打ちできないほどの大きさです。
そんな巨大カイギュウと無縁そうな日本ですが、実はいくつかの巨大なカイギュウ化石が発見されています。
その中から、タキカワカイギュウやキタヒロシマカイギュウと並び国内最大級のピリカカイギュウをピックアップしたいと思います。
日本産のカイギュウにしては不思議な名前をしていると感じるでしょうが、これはピリカカイギュウが1983年、北海道の美利河ダム (ぴりかだむ) の建設工事中に発見されたことに由来するからです。
約120万年前の地層から発見されたピリカカイギュウは先に挙げたステラーカイギュウの祖先といわれ、体長もステラーカイギュウにまったく引けを取らない全長8メートルにも達します。
推定体重は分かりませんが、復元骨格はステラーカイギュウのものと見比べても遜色ないガッチリした体格であり、ステラーカイギュウと同程度あったのではないでしょうか。
発掘されたピリカカイギュウの化石は上半身のみで、発見当時は「豆腐のように柔らかい」ものだったそうで、石膏で固め土砂ごと取り出され、発掘から15年の時を経て全身骨格レプリカが完成しました。
この全身骨格レプリカは美利河地区の文化財保管庫に収蔵展示されているそうです。
子供に人気のある恐竜でもなければ獰猛な巨大爬虫類でもないため、その存在は地味ですが巨大カイギュウは非常に魅力的な生物です、もう少し注目をあびてもいいと思うんですけどね。
(参照サイト)
道南ブロック博物館施設等連絡協議会ブログ
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柔らかに化石ってどんなかな?比較的新しくて出来かけってこと?
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