2020年4月16日木曜日

スコルラダルスヴァトン湖の巨大ワーム ~ スクリムスル

(目撃者の農民のひとりが描いたスケッチ)

■スコルラダルスヴァトン湖の巨大ワーム ~ スクリムスル

フヨールラトリの記事を書いていてスクリムスルを思い出したので今回はこいつにします。

1863年、アイスランド生物にある人口湖、スコルラダルスヴァトン湖 (Skorradalsvatn) で目撃された巨大ワーム状生物、スクリムスル (Skrimsl)。

スクリムスルはイングランドの牧師であるセイバイン・ベアリング=グールド (Sabine Baring-Gould) によって命名され世界に知られることになったUMAです。

グールド自体はその怪物を直接目撃しておらず、目撃した3人の農夫からその話を聞きました。

グールドが農夫たちから聞いたところによると、怪物の体長は46フィート (約14メートル)、頭部はアザラシに似ており背中は大きくコブ状に膨れ、くびれを挟んでコブ、またくびれを挟んでコブ、そして尾が続く、といった摩訶不思議な体型をしています。

コブの大きさは体の後方に従って小さくなっていき、大きさを無視すればツチノコのようなシルエットをしています。

数多いレイク・モンスターの中でも飛び抜けて奇妙な姿をしているのが分かるかと思います。

四肢はなく体の後端はヘビのそれのようにすぼまっていました。

スクリムスル (Skrimsl) という単語は古ノルド語であり、現代アイスランド語のスクリムスリ (skrýmsli) に該当し、その意味は「(水中に生息する) 怪物」。

そういったわけで「スクリムスル」は固有名詞ではないため、この生物以外でもアイスランドでのレイク・モンスターやシー・モンスターの名前にはスクリムスリスクリムスルという単語が入っている場合があります。

さてスクリムスルの正体は一体何でしょう?

14メートルと体長があまりに大きすぎる上、体型も奇妙すぎて似ている生物が存在せず、現実感がわきません。

ただし泳いでいたため水中に没し四肢やヒレが見えなかっただけ、という可能性はあります。

その場合、14メートルは大きすぎるのでもう少し現実的な大きさに修正し、細長い体型をした未発見の鰭脚類 (ききゃくるい) という説がまずは挙げられるかと思います。


しかし個人的にはひとつの仮説として、「アザラシの誤認」を挙げたいと思います。

アイスランドにはもともとゼニガタアザラシ (Phoca vitulina) とハイイロアザラシ (Halichoerus grypus) が生息しています。

スコルラダルスヴァトン湖は海のすぐ目の前に位置しているわけではありませんが、かといってアザラシがやってこれないほど離れているわけでもありません。

なにかの折にスコルラダルスヴァトン湖に迷い込んだアザラシ数等の群れが縦長になって遊泳した場合、一匹の巨大生物と認識 (誤認) されてしまう可能性は否定できません。

3つのコブに見えているのは数頭のアザラシの背中であり、くびれは単に水中に没していて確認できなかった部分ではないか?

コブの大きさが異なるのは単に個体の大きさの違いか水上に出ている面積の違い、もしくは遠近法的によりそう見えただけではないかと推測します。

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2 件のコメント:

  1. へたこくと一頭がおよいでいる波の誤認も有りそうな形態ですね。湖だと凪いでいたら波も綺麗に立ちそうですよね。

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  2. そうですね、当時の詳しい状況は分かりませんが誤認する場合、天候が悪かった可能性は高いですからね、十分ありえると思います。

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