■アイスランドの伝説の猛毒ウナギ ~ フロッカル
フロッカル (もしくはフロッカール, Hrökkáll) はアイスランドのウナギのUMAです。
巨大なウナギはシーサーペントやレイクモンスターの正体のひとつに挙げられますし、ウマウナギのようにそのまま巨大なウナギのUMAも存在します。
巨大ウナギとUMAは切っても切り離せない関係にあります。
それではフロッカルは一般的なレイクモンスターか?というとそうではありません。
フロッカルが生息するのは特定の決まった湖沼ではないからです。
フロッカルの生息地はアイスランドの「淀んだ池や汚染された水域や川」といった漠然としたもので、どうも流れの強い水域は好まない性格のようです。
それでは一体どんなUMAなのか?
フロッカルは他のアイスランドのUMAがそうであるように個性的です。
ウナギのUMAといえば巨大ウナギ、つまりレイクサーペント (巨大海蛇) タイプが定番ですがフロッカルの体長は僅か2フィート (約60センチ)、カミソリのように尖った背ビレと鎧のような硬い体表が特徴です。
UMAながら拍子抜けするような体長で、日本にも生息する体長1.5メートルを超すオオウナギ (Anguilla marmorata) はおろかふつうに目にするニホンウナギ (Anguilla japonica) にすらその体長は及びません
(オオウナギ)
(image credit by Wikicommons)
しかしされどUMA、僅か2フィートとはいえ侮れません。
フロッカルは自らが掘った川底の穴に潜っておりふだん目にすることは滅多にありませんが、彼らのテリトリーに足を踏み入れるやフロッカルは素早くその巣穴から飛び出すとその短い体で足に巻き付き肉をそして骨を切り裂き貪り食べるといわれているからです。
アイスランドのUMAは島国ということもあってか個性的かつ残忍ながらもユーモラスな特徴を備えていることがあります。
アメリカ、カナダの到底実在するとは信じがたい特性を備えた民間伝承的UMAの総称をフィアサム・クリッターといいますが、位置づけ的にはそれに近い存在に思われます。
フロッカルもバックグラウンドは死んで腐敗していたウナギを魔女が蘇らせたもの、なんて言われており、残忍な性質ながらも羊の足はフロッカルが巻き付くには細すぎて巻き付くことができないというクスッと笑ってしまうような特性を備えています。
さてそんなお伽噺のような存在であるフロッカルですが、1932年、フロッカルに襲われたという事件があります。
とある女性が地面をのたうち回っていました。
それを見た地元の男性が女性に駆け寄ると女性の首にはマフラーさながらフロッカルが巻き付いているではありませんか。
男性は持っていたナイフで首に巻き付いたフロッカルの鎧のような皮膚を切り刻んで女性を救出しました。
その体型や性質は同じウナギ目のウツボ類を想起させますが、実際海岸沿いにフロッカルは生息している、という説もあります。
(デンキウナギ)
(image credit be Wikicommons)
現在、アイスランドでは「フロッカル」という単語はデンキウナギ (Electrophorus electricus) を指すといいます。
デンキウナギは南米にのみ1属3種生息しており当然ながらアイスランドには生息していません。
フロッカルは体型的にはずんぐりとしておりむしろデンキナマズに似ていますが、こちらも2属19種すべてがアフリカ大陸にのみ生息しています。
いずれかの存在が耳に入りアイスランドで創造されたUMAである可能性は高そうですが、アイスランドにも実は未発見の強電気魚が生息しており、フロッカルは実在すると考えるのも楽しそうです。
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