2023年2月1日水曜日

わたしの背に乗りなさい ~ ロッホ・オイック・モンスター (オイック湖の怪物)


■オイック湖の怪物

今回はオイック湖の怪物

英語圏でロッホ・オイック・モンスター (Loch Oich monster) と呼ばれることから察しが付くと思いますがスコットランドのUMAです。

ロッホ (Loch) とはスコットランド・ゲール語で湖もしくは入り江を意味し、必ずしも湖とは限りませんが「ロッホ〇〇モンスター」という名を見たらスコットランドの湖のUMAかなぁと思ってまず間違いないです。

ネッシーも英語圏では通常、ロッホ・ネス・モンスター (「ネス湖の怪物」 Loch Ness monster) と呼ばれることが多く、日本でもそこそこ有名なモラーグ (Mòrag) もロッホ・モラー・モンスター (「モラー湖の怪物」 Loch Morar monster) ですし、他にもロッホ・オー・モンスター (「オー湖の怪物」 Loch Awe monster)、ロッホ・コイック・モンスター (「コイック湖の怪物」 Loch Quoich monster) と言ったように10以上のロッホ・モンスターが知られます。

それではオイック湖の怪物を見ていきましょう。

ちなみにオイック湖の怪物にはネス湖の怪物がネッシーと呼ばれるようにウィー・オイッキー (Wee Oichy) や単にオイッキー (Oichy) なるニックネームで呼ばれることもあります。

湖の大きさはネス湖に全く及びませんがスコットランドの多くのロッホ (湖) がそうであるようにネス湖と似た細長い形状をしています。

位置的にもネス湖のすぐそばにありオイック川で両湖は繋がっています。

川で繋がっているなら同じ生物の可能性もあるのでは?

しかしながらオイック湖の怪物はネッシーとは随分と異なる姿をしているようです。

目撃情報はかなり少なく心許ないのですが、おそらく全体的なシルエットは細長くレイク・サーペントならぬロッホ・サーペントといった感じで、体色は黒、長い首には鬣 (たてがみ) を有し背中にはフタコブラクダのようにコブが二つ、頭部は犬や馬等、哺乳類的だといわれています。

伝説では、ある若者が湖畔にいたオイック湖の怪物の背に跨ると怪物は動き出し湖の中へと若者もろとも消えていったというものがあります。

若者はその後見つからず、おそらくは溺れ死んだものと考えられていることからオイック湖の怪物は邪悪な生物と位置付けられています。

(スコットランドの芸術家、トーマス・ミリー・ダウの作品「ケルピー」(The Kelpie))
(image credit by Wikicommons/Public Domain)

但し、民話等に詳しい人なら気付いたと思いますが、これはウォーター・ホース (「水馬」, water horse) の一種ケルピー (Kelpie) の特徴そのままです。

ケルピーは水中に住む馬のような姿をした伝説上の生き物で、馬 (のような姿) でありながらその妖麗 (ようれい) な姿を目にしたものはケルピーの背に跨りたいという抗いがたい衝動に駆られます。

欲望に負け跨ったが最後、ケルピーはその人物を背に乗せ水の中へ没し彼らは溺れ死ぬことになります。

ケルピーはセイレーンの湖版といった感じです。

ケルピーとの酷似した共通点を考慮するとオイック湖の怪物の背に跨った若者の逸話はおそらく創作されたものでしょう。

ケルピーが子供たちを (水難事故から守るため) 水辺から遠ざけるための存在として創造されたと推測されますが、オイック湖の怪物もまたそれに近い存在だったのかもしれません。

それではまったくでたらめな生き物か?

そういうわけではありません、少ないながらも1800年代から目撃証言はあります。

1936年、息子とこの湖に訪れてボートに乗っていた市会議員のA・J・リチャーズ (A.J. Richards) 氏が怪物を目撃します。

わずかボートから10フィート (約3メートル) という距離に2つのコブが突如現れました。

コブとコブの間は3フィート (約90センチ)、コブの高さと長さはともに10フィートもありました。

やがて怪物は水面から犬に似た頭部を見せるとリチャーズ親子には危害を与えることなく水に没してしまいました。

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