■1877年 ~ サクラメント・シ・ーサーペント
これはシー・サーペントを船上から確認した帆船サクラメント号の操舵手、ジョン・ハート (John Hart) 氏によるスケッチです。
オーストラリアのイラスト情報月刊誌オーストラリアン・スケッチャー (Australasian Sketcher with Pen and Pencil) に掲載されました。
「これはニューヨークからメルボルンまでの航海中、わたしが舵をとっていたサクラメント号 (Sacramento) から目撃したシー・サーペントの正確なスケッチです。
非常に巨大なヘビのような姿をしており、50フィート (約15メートル) もしくは60フィート (約18メートル) ぐらいに見えました。
頭部はワニ (アリゲーター) に似ており、頭部から10フィート (約3メートル) ぐらいのところに一組のヒレアシがありました。
体色は赤褐色でした。
目撃時、そいつは身動きせず完全に横になっており、海面から3フィート (約0.9メートル) ほど首をもたげていましたが、30~40フィート (約9~12メートル) 後を追うと水に没してしまいました」
15メートル以上とかなり大きく、現存する生物ではクジラかサメ (ジンベエザメ・ウバザメ) しか該当しませんが、比較対象物の少ない海なのでそこまで厳密に考える必要はないと思います。
「非常に大きな生物」ととらえて問題ないでしょう。
体長は10メートルにも及びませんが、その正体はイリエワニ (Crocodylus porosus) ではないかと推測します。
ワニはワニでも目撃者であるハート氏はアリゲーターといっており、クロコダイル科のイリエワニとは異なるのではないか?と考える人もいるかと思います。
ワニは大きく3種に分けることができます。
クロコダイルとアリゲーター、そしてガビアルです。
しかし現存するガビアルはインドガビアル (Gavialis gangeticus) 一種ですから、実質クロコダイルとアリゲーターの2種に大別されます。
日本語では「ワニ」という便利な言葉があるため、クロコダイルとアリゲーターを区別して言う必要はありませんが、英語ではどちらかを選択せざるを得ません。
クロコダイルとアリゲーターの外見的な違いは一般的に口吻 (こうふん「鼻先」のこと) の形で区別できると言われています。、
上から見たときの口吻のシルエットが尖っている (V字型の) のがクロコダイル、丸みを帯びている (U字型の) のがアリゲーターと言った具合です。
また口を閉じたときに側面から見て下顎の歯 (前から4番目) が外から見えるほうがクロコダイル、見えないほうがアリゲーターという見分け方もあります。
左からインドガビエル、アリゲーター (アメリカンアリゲーター, American Alligator)、クロコダイル (アメリカワニ, Crocodylus acutus)、です。
このように並べてみれば分かりやすいですが、ガビアルはともかく、アリゲーターとクロコダイルの違いは言われるほど顕著ではありません。
おそらくハート氏は日本語で言う「ワニ」といった意味で「アリゲーター」と語っただけではないかと推測します。
イリエワニは巨大であり、海流によって沖合にでたイリエワニに遭遇した場合、「こんなところにワニがいるはずがない」という先入観が無意識に働けば、謎のシー・サーペントと誤認してもなんらおかしくはありません。
海を泳ぐイリエワニの画像初めて見たわ。
返信削除確かにこれは誤認しますね。
ねっ、沖でみたら勘違いしちゃいますよね。
返信削除