クジラはでかい。
特にヒゲクジラ類のでかさは驚異的で、30メートルを超えるシロナガスクジラ (Balaenoptera musculus) が現生最大の海洋生物であることは周知の事実です。
クジラは哺乳類ですが、それでは魚類最大の生物といえば?
やはりサメで、ジンベエザメ (Rhincodon typus)、そんなでかいのは見たことないですが、一応20メートル近く成長するといわれています。
続いて、UMAの目撃情報の誤認を最も引き起こすことでも知られるサメ、ウバザメ (Cetorhinus maximus) で最大で14メートル近く成長するとの噂もあります。
続いて、ホホジロザメ (Carcharodon carcharias) やニシオンデンザメ (Somniosus microcephalus)、オニイトマキエイ (マンタ, Mobula birostris)等、いずれにしてもサメやエイ等、魚類最大といえば軟骨魚類が上位を独占します。
一方、硬骨魚類最大の魚といえば?
意外と思う人もいるかもしれませんが、あののんきそうに泳いでいるマンボウ (Mola mola) やウシマンボウ (Mola alexandrini)、とにかくマンボウ科 (Molidae) の生物です。
マンボウは最大体長は3~4メートルといわれていますが、3.3メートル、2.3トンが信頼できる最大記録のようです。
(UMA誤認の代表種、オールフィッシュことリュウグウノツカイ)
長さだけだったらやっぱりリュウグウノツカイ (Regalecus russelli)。
現生どころか硬骨魚の史上最長レベルですが、なにせ左右に扁平、うっすく軽いので、今回のランキングからは外させてもらいます。
では今日の本題です、「史上」もっとも巨大な硬骨魚類といえば?
それはリードシクティス (Leedsichthys notocetes) といわれています。
断片的な化石しか発見されていないことから、研究者によって推測される大きさに非常に幅がありますが、最低でも9メートル、最大で35メートルと硬骨魚類どころか、史上最大の海生生物、シロナガスクジラを上回る推定もあります。
最低と最大で体長に約4倍ほどの開きがありますが、最低の9メートルとしてもマンボウを軽々と凌駕します。
(濾過捕食者、メガマウスの模型)
(image credit by Wikicommons)
実際のところ9メートルどころではなく、現時点での最先端科学の無難な見積もりからすると14~16メートル前後が有力のようです。
なにせ同属の生物が細長い体型していることが、推定体長を惑わせる1番の原因でしょう。
最大体重は45トンと見積もられており、体長もさることながら重さも硬骨魚では他を寄せ付けないぶっちぎりの巨体です。
これほどまでに魅力的な体躯を誇りながら、かなりのマイナーな存在というのは意外というか残念です。
多くの巨体を誇る海生生物 (ヒゲクジラ類やジンベエザメ等) の多くがそうであるように、リードシクティスもまた濾過摂食 (ろかせっしょく) 者と考えられています。
濾過摂食とは大口を開けて泳ぎ、口中に入ってきたプランクトン等の小型生物を濾しとって食べる摂食方法で、凶暴な肉食獣が大好きな男子のハートにこの穏やかな性質がいまひとつ刺さらないのが知名度の上がらない理由のひとつかもしれませんね。
目撃されたUMAの正体として絶滅巨大生物が候補に挙がるのは茶飯事 (たとえそれが荒唐無稽であっても) ですが、リードシクティスが登場することは皆無です。
ジュラ紀の中期〜終わりごろから白亜紀全般の長期に渡って生きながらえたリードシクティスですが、さすがに恐竜と同様、生存説が厳しいのは周知の事実です。
まあ35メートル説は行き過ぎとは思いますが、リードシクティスは骨格の発掘が不完全ゆえ、いまだ史上最大の海生生物の可能性を秘めた夢のある古生物のひとつであることは確かです。
UMA本に海生巨大UMAの正体としてリードシクティスが登場するのを楽しみに待ちましょう!
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