2020年4月5日日曜日

新型コロナウイルスの媒介者だと? ~ センザンコウ


■新型コロナウイルスの媒介者? ~ センザンコウ

日本では一般的にはマイナーな生物と思われるセンザンコウ

そんなセンザンコウが今世界中で話題になっています。

いまだかつてセンザンコウにこれほど注目が集まったことはないのではないでしょうか。

とはいえ、話題になっている理由が「新型コロナウイルスの媒介者」としてです。

Nature誌によればセンザンコウが新型コロナウイルスと配列が90%一致するコロナウイルスを保持していることがわかったということです。

もともとセンザンコウは絶滅に瀕しており、8種すべてがワシントン条約により取引が禁止されています。

しかし、鱗 (うろこ) を漢方薬や媚薬、肉は珍味といった理由で密猟があとを絶たず非常に危機的状況にあります。

こういった鱗に薬効あるといった迷信 (実際薬効があるのかもしれませんが) や伝統食の前に「絶滅するから密猟をやめよう」といった啓蒙はほとんど無力です。

絶滅が危惧されていてもウナギを食べるのと同じです。

そこで今回の件を受けて、センザンコウの保護活動家は中国やベトナムを始めとする東南アジアに向け、野生のセンザンコウを食することは (新型コロナウイルス感染の) 危険があり密猟すべきではないと、別方向からアプローチします。

しかし鱗目当ての密猟者に「ウイルス根絶のため」という大義名分を与えてしまいかねず、逆にセンザンコウの密猟 (もしくは単に虐殺) に拍車がかかるおそれもあります。

いずれにしても現在のセンザンコウの置かれている立場は厳しいものです。

さて、せっかくセンザンコウが話題に上がったので、この生物を軽く見ていきましょう。

センザンコウ鱗甲目 (りんこうもく) という独自の目に分類されるれっきとした哺乳類ですが、その特異な鱗を身にまとうことにより以前は分類に混乱を招きました。

全身を包む切れ味鋭いその大きな鱗はまるでコイのそれのようです。

そのため中国では「竜鯉」インドでは「バジュールキト (密林の魚)」と呼んだことからも分かる通り、魚の一種と考えられていた時代もありました。

松かさにも例えられるその奇妙な鱗をアラビアでは樹皮に例え「アブキルファ (樹皮の親父)」と呼びます。


英語圏では昔も現在もパンゴリン (Pangolin) と呼ばれますが、これはマレー語で「丸まるもの」を意味する "pengguling" に由来し、その名の通り身の危険を感じるとボールのように丸くなり尖った鱗を外側に向けて防御姿勢をとります。

食性はアリやシロアリなどの昆虫、そのためスケーリー・アントイーター (scaly anteaters「ウロコアリクイ」の意) とも呼ばれます。

子供は母親の背中や尾にしがみつきその姿はとても愛らしいです。

なんとか生き延びてほしいものです。

UMAにも興味のある方は、巨大センザンコウ、ヴェオの記事をご覧ください。


(参照サイト)
National Geographic
The Sun

(参考文献)
世界動物発見史 (ヘルベルト・ヴェント著)

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