■生きた翼竜を捕まえた! ~ サン=ディジエの翼竜
今回はサン=ディジエの翼竜 (Saint-Dizier Pterosaur)。
旧サイトで「サン・ディジェの翼竜」で記事を書いていたものです。
サン=ディジエ (Saint-Dizier) はフランス北東部、オート=マルヌ県 (Haute-Marne) にあるコミューンのひとつです。
話はとってもシンプル。
1856年、サン=ディジエからムルト=エ=モゼル県 (Meurthe-et-Moselle) のナンシー (Nancy) に抜ける大規模な鉄道トンネルの掘削工事が進められていたといいます。
するとトンネル工事の進路上に大きな岩が立ち塞がりました。
もちろん崩す以外に手立てはありません。
作業員がその大きな岩を割ると、なんとそこから翼竜が現れたのです。
適当に割ったのに、翼竜の化石が見つかるなんてラッキー!なんてレベルではありません。
それは化石ではなかったのです。
ミイラ?
いやいやいや、なんとそれは化石でもミイラでもなく、生きた翼竜だったのです。
その翼竜は飛ぶことはできませんでしたが翼を微かに羽ばたかせ、そして鳴き声を上げるとそのまま地面に落下し絶命してしまいました。
翼竜が閉じ込められていた岩を見ると、その翼竜の形の窪みがありました。
原理は分かりませんが、定説では白亜紀末期の6600万年前に絶滅したといわれている翼竜が、岩にはまりそのまま現代まで仮死状態で生きていた、ということのようです。
そんなバカげた話があるか!
まあまあ怒らないでください。
その翼竜はもちろん回収され、古生物学者の手に渡りました。
(発見されたのはクテノカスマ・エレガンスか?)
(image credit: Wikicommons)
翼開長3メートル、青黒い体色、現代でもそう考えられているように、翼は薄い膜でできており四肢と繋がっていました。
足には長いかぎ爪を有しており、口内には小さな歯がぎっしり並んでいたといい、古生物学者は翼竜の一種で間違いないと同定しました。
これにはもうひとつバージョンがあり、単に掘削工事中にトンネルの奥から翼竜が現れ、挟まっていた岩等は登場しませんが、絶命後にすぐに塵になってしまった、というものです。
さて、この素敵なお話ですが、旧サイトではソースを見つけられず、日本のUMA本限定の創作ネタかと思いましたが違うようです。
週刊新聞紙「イラストレイテド・ロンドンニュース」1856年2月9日号に掲載されたもので、当時のフェイク・ニュースだそう。(笑)
さてこの地域では実際に口内に200本以上の櫛のような歯を持ち、まさに「サン=ディジエの翼竜」を彷彿とさせる、クテノカスマ (Ctenochasma) が発見されています。
尚、クテノカスマ・エレガンス (Ctenochasma elegans) はクテノカスマの最小種で翼開長が25センチとする一方、最大1.9メートルに成長した、つまり最大種とする研究者もいるようです。
いずれにしても「サン=ディジエの翼竜」ほど大きくは成長しなかったようです。
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