RPGやカードゲームにも登場することも多い生物 (怪物)、カトブレパス (catoblepas)。
ファイナル・ファンタジーやマジック:ザ・ギャザリング等、有名どころにだって登場します。
実はこの生物、もともとは実在する生物と考えられ、プリニウスの「博物誌」にも登場する生物です。
(カトブレパス)
(image credit by Wikicommons)
博物誌に登場するのですから、少なくとも2000年の歴史を持つのは確かです。
カトブレパスは、東アフリカのエチオピアに生息すると信じられていた生物で、時代や研究者によりその姿は形を変え、とても多くのバリエーションが存在します。
しかし、その姿は基本は牛 (または水牛)、もしくは牛の体に豚の頭部をつけたものであり、頭が非常に重く持ち上げることが困難であるため、常にうつむき加減か、頭部を地面につけているといったものです。
また、その頭部の重さゆえ、動きは非常に緩慢であるといわれています。
この程度であれば実在してもそれほどおかしくなさそうですが、草食動物でこの緩慢な動きは致命的です。
肉食動物の餌食でとても子孫を残せるとは思えません。
というわけでこの欠点をカバーするため、現代のゲームでも重宝されるファンタジー特性をもっています、視線が合ったら最期、死ぬか石化するといわれています。
「視線が致命的」よりは少し緩和された、鼻や口から火を吐く、というバージョンもあります。
この特性は、ドクハキコブラ (Hemachatus haemachatus) ことリンカルスのように、天敵に対しディフェンスとして「口から毒液を吐く」ことが誇張されたものと解釈すれば、それほど荒唐無稽なものではありません。
(リンカルス)
(image credit by Wikicommons)
さらにその特性が緩和されたバージョンでは、カトブレパス自体は無毒ながら、人間にとって有毒な植物を食する習性ゆえ、その「吐く息」が有毒だとする説もあります。
いずれにしても頭部が重く、少なくとも人間に対して友好的な存在でない、というのがカトブレパスの特性といえます。
という自然な流れから (笑)、「史上最大の肉食獣 (the largest terrestrial mammalian carnivore)」と謳われる頭でっかちのアンドリューサルクス・モンゴリエンシス (Andrewsarchus mongoliensis) に移行しましょう。
種小名からも想像できる通り、モンゴルに生息していた哺乳類です。
アンドリューサルクスの魅力?はとにかくそのデカい頭。
頭骨だけで83.4センチ、長い吻部だけで50センチほどあります。
頭骨だけで、というか頭骨しか見つかっておらず、全長・全体像は不明、但し、オオカミと姿がよく似たメソニクス (Mesonyx) に近縁と考えられ、メソニクスを基に全体のプロポーションを推定、肩高189センチ、体長382センチ、体重最大450キロと見積もられています。
但し、むしろ絶滅種の巨大イノシシ、エンテロドン (Entelodon) に近いと考える研究者もおり、今後、頭骨以外の骨が発見されれば現時点で推測されている体長・体重は大きく修正される可能性があります。
現実的なものかどうかはかなり怪しいものの、夢のある復元では500キロ超、それどころか800キロや1トン超えというものまであります。
上記のような理由から、復元されるアンドリューサルクスのその姿も、オオカミ的であったりイノシシ的であったり、その2つのハイブリッドであったりと、随分と印象が異なります。
また、目が大変低い位置に復元されている復元は、頭部だけみると魚類ですがアリゲーターガー (Atractosteus spatula) を彷彿とさせるようなものもあります。
このアンドリューサルクス、その全体像を知るにはもう少し時間がかかるかもしれません。
しかし、その復元がたとえオオカミに似てようと、どれだけ凶暴そうに描かれようと、ウマやウシ等、現在は大型の草食動物しか属していない有蹄類 (ゆうているい) の仲間であるということは動かしがたい興味深い事実です。
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