■明治時代に横須賀で捕獲された脚 (足) のある蛇 ~ ヨコスカ・スネーク
2009年9月11日、中国四川省遂寧市 (すいねいし) で「脚」のある蛇が発見されました。(※どうでもいいことですが、発見された日付には9月13日、14日説もあり、これらは発見日と報道日の誤差によって生じたものではないかと推測されます)
古いニュースですが、それなりに大きく報道されたので覚えている人も多いかもしれません。
発見したのは段瓊秀 (ドゥアン・チオンシウ) という66歳の女性の方で、真夜中に奇妙な音 (引っ掻き音とも威嚇するときのような音とも) で目覚め、部屋の電気をつけると自分の音ていた枕元のすぐ近くにこの蛇がいたといいます。
段さんは度肝を抜かれたものの、靴を掴みヘビを叩き殺しました。
(遂寧市の脚のある蛇)
(image credit: CEN/Europics)
写真だと大きく見えますが、体長は16インチ (約40センチ) しかなく、頭部から6インチ (約15センチ) ぐらいのところに「脚」と思われるものが飛び出していました。
対になっておらず片側に1本だけ、これが仮に本物の脚であれば位置的に前肢である可能性があります。
この蛇の種自体は特定されており、おそらくアカマダラ (Dinodon rufozonatum)、もしくはその亜種 であろうといわれています。
アカマダラは最大で体長が1メートル以上に達し、日本に棲息するアカマダラの亜種、サキシママダラ (Dinodon rufozonatum walli) は最大1.3メートルに達することもあるらしいです。
さて日本でも脚の生えた蛇が捕獲されたというニュースはいくつかあるようですが、今回は今から150年程前に捕獲された神奈川県横須賀市で捕獲された固体を見ていきましょう。
天野ミチヒロさんの「本当にいる世界の未知生物案内」で紹介されていたもので、東京曙新聞 (とうきょうあけぼのしんぶん) の1876年6月28日号に図入りで掲載されたようです。
東京曙新聞は1875年 (明治8年) から1882年 (明治15年) まで僅か7年で廃刊された短命の政論新聞ですが、新聞の詳細は分からないものの新聞の性質上、全くのデマを掲載しているとは考えにくく、それなりに記事の内容は信憑性が高そうです。
(新聞に掲載された脚のある蛇)
(image credit: 『本当にいる「世界の未知生物」案内』)
新聞によると、その謎の蛇は濃い青色の体色をしており、体長は五尺三寸 (約1.6メートル)、尾から1寸 (約30センチ) のところに1対の「脚」がありました。
脚の長さは具体的な数字で記載されていませんが、絵を信じれば10センチ以下、体に見合わない小さいものの脚の先端には鷹の「爪」のようなものもあったといい、まさに爬虫類の「脚」のようです。
体長も成人女性ほどもありなかなか大型です。
新聞にはアルコール漬けにされ保存された旨が記載されているので、もしかして現物が存在するかも?
UMAの標本があるなんてかなり貴重です、、、
が、冷めるような話をすると、この脚、蛇の交尾器 (半陰茎) である可能性があります。
脚のある蛇 (や脚のあるサメ) はこのパターンが割と定番です。
ヘビの半陰茎は1対2本あり、まさに「小さな後肢」のように見えるからです。
冒頭で紹介した中国の蛇は体のかなり前方にあったため半陰茎である可能性はほぼないですが、こちらは位置的にも大きさ的にも半陰茎である可能性は否定できません。
種によって半陰茎の形状、長さは千差万別、棘のような突起を持つものも少なくなく、その棘が脚の爪に見えた可能性もあります。
とはいえ、実物を見て見ない以上、断定はできません。
本当に脚のある蛇だったかもしれません。
(参考文献・参照サイト)
本当にいる「世界の未知生物」案内 (天野ミチヒロ著)
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