(original image credit by C.M.Koseman/Daily Mail)
■現代の動物を骨格だけで復元してみると怪物になる
恐竜とは果たしてどんな姿の動物だったか?
恐竜にまったく興味のない人でも大方「恐竜のイメージ」というものは出来上がっています。
発掘された恐竜の化石、つまり骨格に現世の爬虫類などを参考に肉付けを行い復元されているからです。
しかし本物の恐竜を確認することは決して出来ず、あくまで「想像」の範疇を超えることはありません。
ですが、復元された恐竜がいくら想像とはいえ、本来の恐竜とは遠からずだいたい合っているんだろう、と漠然と考えています。
その認識は正しいのか?
皮膚や筋肉といった軟組織が化石化することは稀なため、恐竜の復元は組まれた骨格に沿って皮膚を張り、必要最小限の筋肉で肉付けしいるものが多いため、肉付きのよい恐竜は決して多くありません。
トルコの古生物芸術家 (Palaeoartist)、C.M.コーズマン (C. M. Kosemen) 氏は、現世の動物を「恐竜の復元と同様の手法で」骨格だけで判断し復元したらどうなるかを示しました。
(original image credit by C.M.Koseman/Daily Mail)
翼がなく、その代わりに腕を持つ白鳥、やせ細った体型に恐竜のような尾を持つバブーン (ヒヒ)、恐竜 (竜脚類) のような頭部をし歯がむき出しのカバ、もはや原形をとどめないシマウマ、長い鼻を持たず小さな耳をしたゾウ、背中に変な突起があり角のないサイ。
ゾウの頭骨だけで、あの大きな耳と長い鼻を想像するのは困難ですし、同じくサイの角のように骨ではなくケラチン繊維で出来ているため骨格には含まれませんから復元されません。
つまり、このようなことが恐竜の復元にも常に起きている、ということをコーズマン氏はいいたいわけです。
ゾウの長い鼻、大きな耳、サイのようなケラチン繊維で出来た角や隆起、こういった骨格 (化石) だけで判断できない器官や組織が復元では当然脱落してしまうわけで、今まで復元された恐竜の中には生前の姿が全く異なるものもいるかもしれません。
(original image credit by C.M.Koseman/Daily Mail)
コーズマン氏も恣意的に細く復元している感は否めませんが、生前の軟組織がどのようになっているか分からない以上、このように復元されても不思議ではありません。
コーズマン氏が特に現代の恐竜の復元で気になっているのは「歯の強調」です。
恐竜 (特に獣脚類) は口を閉じた状態でも鋭い牙が見えているものも少なくないですが、現世動物を鑑みればそれはレアなことであり、おそらく間違っているのではないかとの主張です。
恐竜=怖いもの、という初期の印象付けがこういった現代の (より怖そうに見える) 復元に影響しているのかもしれません。
遠い未来、現代の動物が絶滅し、生存時の写真等がすべて失われ骨格のみしか存在しない場合、コーズマン氏のように復元する古生物学者がいるかもしれません。
(original image credit by C.M.Koseman/Daily Mail)
(参照サイト)
Daily Mail
BuzzFeedNews
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