アップランド・トラウト (Upland trout) は魚類でありながら水を怖がり、樹上に巣を作るといわれるマス (trout) に似たUMAです。
アップランド・トラウトは這って木を登るのではなく、トビウオのような大きな胸鰭をもち、このヒレを使って空を飛ぶことが出来るため、捕獲するのが非常に難しいといわれています。
ただし、マスといわれるだけあって食べると美味しいとの噂です。
しかしこのアップランド・トラウト、これはUMAというより民間伝承上の生物で、木こりたちのほら話、フィアサム・クリッター (fearsome critters) の一種です。
その存在だけが語り継がれるものの、なにせ目撃情報は皆無です。
このアップランド・トラウトはUMAではなく、一種の「現象」から創造された可能性はあります。
キノボリウオのように自ら木に登ることはもとより、鳥などによって樹上に運ばれた魚を見た人が、その過程を知らないために「魚が木を登ったに違いない」と勘違いや想像してしまう可能性があるからです。
それゆえ、アップランド・トラウトは意味が転じ「存在するべきでない場所に魚が現れる現象」を指すことがあります。
この場合は「アップランド・トラウト現象」といったほうが適切かと思います。
アップランド・トラウト現象には次のようなものがあります。
アメリカ南西部に広がるモハーヴェ砂漠 (Mojave Desert) におそらくはカリフォルニアドチザメ (Triakis semifasciata) と思われるサメの死骸が落ちていました。
サメはずっと前に死んでミイラ化しているといったものではなく、死んで間もない状態でした。
カリフォルニアドチザメはその名の通り、モハーヴェ砂漠から程近いカリフォルニア沿岸に生息するサメですが、距離的にいくら近いとはいえ自力でモハーヴェ砂漠にたどり着くなど不可能です。
それゆえ、このサメのことをアップランド・トラウトならぬ、アップランド・シャーク (upland shark) といわれることもあります。
いわゆる「アップランド・トラウト現象」と捉えられているのです。
証拠はありませんが、合理的に考えてこのカリフォルニアドチザメはペットとして飼っていたものが死んだため遺棄したものだろうと考えられています。
(参考文献)
Encyclopedia of Beasts and Monsters in Myth, Legend and Folklore / テレサ・バネ 著
(参照サイト)
Pratical Fishkeeping
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