2020年8月12日水曜日

チャンプの正体ともいわれるタニストロフェウスの謎が少し解けたらしい

(original image credit by Kazimierz Mendlik)

■チャンプの正体ともいわれるタニストロフェウスの謎が少し解けたらしい

スコットランドのネッシーと双璧をなす代表的レイク・モンスター、チャンプ (Champ)。

チャンプはアメリカのバーモント州とニューヨーク州、カナダのケベック州の3つの州にまたがる巨大な湖、シャンプレーン湖 (Lake Champlain) に生息するといわれているUMAです。

目撃証言によればチャンプの体長は8~30フィート (約2.4~9.0メートル) とかなりの開きがありますが、とにかく大型の水生UMAです。

(ロングノーズ・ガー)
(image credit by PierreSelim/Wikimedia)

その正体を巡って無難なところではミズウミチョウザメ (Acipenser fulvescens) やロングノーズガー (Lepisosteus osseus) 等が候補に上がります。

しかしやはりその正体として人気があるのは恐竜時代の海生爬虫類です。

ネッシーが恐竜と時代を共にした海生爬虫類、プレシオサウルス (Plesiosaurus) をその正体として人気を博したように、チャンプも負けじとその正体の一つとしてタニストロフェウス (Tanystropheus) の名が候補に上がります。

(チャンプといえばこの画像)

タニストロフェウスは完全な水生生物ではなく、その生態を考えるともし仮に現代まで生き残っていたとしてもチャンプの正体と考えるにはハードルがあります。

とはいえ、候補に上がったことで比較的マイナーなタニストロフェウスをそれほど古生物に興味のない人たちへ知らしめた功績は大きいでしょう。

(流木説を検証する模型)
(image credit by BRad06/Wikimedia)

さて今回はこのタニストロフェウス

粉砕された頭骨をCTスキャンし再構築することによりいくつかの新発見 (もしくは従来の説を補強) があったと伝えられます。

タニストロフェウスは恐竜がポツポツと現れ始めた三畳紀の爬虫類で、体長は6メートル、その1/2~2/3が首という、史上最も体に対して首の比率が大きい生物です。

成長するほどの首の比率が大きくなるという特徴を持ちます。

タニストロフェウス・ロンゴバルディクス (Tanystropheus longobardicus)
(image credit by Renesto S.. & Saller F./Wikimedia)

荒っぽい表現をすればオオトカゲの首から上をヘビに置き換えたような姿をしており、トカゲのように尾を自切することも出来ました。

首の付け根より上を見るとまさにヘビそのものといった感じですが、ヘビのように柔軟に首を動かすことは出来ませんでした。

というのもこの首はこの長さにしてわずか10~13個の椎骨で構成されているからです。

キリンの首も人間と同じ7個の椎骨しか持たないためしなったような動きしかできないことからも想像できるでしょう。

(食玩 UHA味覚糖 チョコラザウルスのフィギュア)

一方、代表的な首長竜のひとつ、エラスモサウルス (Elasmosaurus) は7~8メートルの首に対し72~76個の椎骨で構成されており、かなり柔軟に首を動かすことが出来たのではないかと考えられています。

さて今回のCTスキャンによる頭骨の再構築から、クロコダイルのように鼻孔が吻の上部にあることが判明しました。

これは従来の説を補強し、待ち伏せ型の狩猟方法により多くの時間を水中で過ごしていたことを示唆します。

とはいえ遊泳は苦手だったろうと考えられています。

また幼体と成体では歯の形が異なることから、成長とともに食性が変わると考えられていました。

タニストロフェウス・ヒドロイデス (Tanystropheus hydroides) の幼体と思われていた小柄な化石は実は幼体ではなくタニストロフェウス・ロンゴバルディクス (Tanystropheus longobardicus) の成体であることも分かりました。

これはつまりタニストロフェウスの大型種と小型種が同じ地域に生息していたことを意味します。

ただし大型種は大型の魚類や頭足類を、小型種は小さな魚類や甲殻類を食べていたと推測されており、当然ながら食性による競合はなかったと考えられています。

(参照サイト)
Live Science
New Atlas

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