■バハマのもうひとつの巨大頭足類 ~ ジャイアント・スカットル
浅瀬の海に巨大な穴が開いたように見えるブルーホーム (blue hole)。
実際にその部分だけが回りよりも極端に深く、これは穴がいているように見えるのではなく実際に穴が開いているのです。
ブルーホールといえばこれ!というほど有名な中米ベリーズのグレイト・ブルー・ホール (Great Blue Hole) は直径318メートル、深さが124メートルという巨大なものです。
美しさと不気味さの両極端の魅力を持つブルーホールを目にすれば、この中に得体のしれない怪物が棲息しているかもしれない、と思うのは自然な流れかもしれません。
そんなブルーホールに棲息する怪物の代表はルスカです。
ルスカはバハマのアンドロス島 (Andros Island) 沖のブルーホールに生息するといわれており、そのブルーホールがいずれであるかは分かっていません。
詳しくはルスカの記事を読んでいただくとして、多くの場合、ルスカは巨大な頭足類、特に巨大ダコとして描かれます。
そしてバハマにはルスカ以外にも巨大な頭足類が棲息しているといわれます、今回紹介するジャイアント・スカットル (or ジャイアント・スカトゥル, Giant Scuttles) です。
スカットルもまたルスカのようにその姿はタコであるかイカであるかはっきりしていませんが、バハマの言葉でスカットルは「タコ」を意味するということで取り敢えずタコとして考えていきましょう。(※名前に「タコ」とついていても生物学的にタコとは限らないため断定できません)
スカットルの触腕を広げた時の大きさは100フィートとも200フィート (約30~60メートル) ともいわれておりルスカとも引けを取らない巨大ダコです。
記録に残る最も古いスカットルの目撃情報は20世紀初頭のもので、グランド・バハマ島の長官が12歳のころに体験したものです。
ルスカの生息地としても有名なアンドロス島沖で父親と小舟に乗って釣りをしていた時のことです。
父親の仕掛けに何かがかかりました。
それは非常に重く大物であることは確かで、ゆっくりゆっくりとしか引き上げることはできませんでした。
父親が時間をかけ引き上げている最中、海をのぞき込むと獲物がうっすらと見えてきました。
なんとそれは信じられないほど大きなタコだったのです。
突如、父親の竿にかかる獲物の引く力が軽くなりました、タコがエサを手放したのです。
巨大なタコは急浮上すると、親子の乗っている船に触腕でしがみつき、船上に上がってこようかという勢いです。
二人は急いでパドルを手に取るとタコの体を何度も何度も殴打し引き離すことに成功しました。
スカットルは慌てて海の中へと消えていったといいます。
スカットルはこのように船そのものを襲うことが多いようで、地元の漁師たちはスカットルの触腕で船に巻き付かれた話をよくします。
但し、船を襲うにも関わらず、遊泳中の人やダイバーが襲われた事件は皆無であり、その見た目や行動とは裏腹に生身の人間には危害を加えないと信じられています。
これはスカットルのエサとしては人間はあまりに小さすぎてその対象となっていないからといわれています。
ところでジャイアント・スカットルはルスカとはどう違うのか?
これが実は難しく、敢えて言えばルスカが真に巨大ダコかそれとも巨大ダコに似たハイブリッド生物であるかはっきりしていないこと、またルスカと生息地が被っているもののルスカはブルーホールからほぼ動かないのに対し、スカットルは生息域がもう少し広くまたより深海に生息するなんていわれています。
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ルスカVSスカットルとかで映画化すればいいのに
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