巨大イカといえば、ダイオウイカ、ダイオウホウズキイカ、この2種は外套 (筒状の体の部分) だけで人間の背丈以上に成長し、イカの仲間というより無脊椎動物全体でも飛びぬけた大きさを誇ります。
上記のイカの英名はそれぞれジャイアント・スクイッド (giant squid)、コロッサル・スクイッド (colossal squid) といい、どちらも「巨大」をあらわす「ジャイアント」「コロッサル」を名に冠します。
(レッド・デビルことアメリカオオアカイカ)
実はこの2種以外にも「巨大」を意味する「jumbo」を冠したイカがいます、ジャンボ・スクイッド (jumbo squid) こと、アメリカオオアカイカ (学名:Dosidicus gigas) です。
ちなみに正式な英名はフンボルト・スクイッド (Humboldt squid) で、名前の通り南米フンボルト海流域を中心に生息します。
外套は大きくても1.5メートルぐらい (大きな個体は2メートル近いとも) で、足もダイオウイカのように極端に長く成長しないため、全長5メートル、10メートルといった記録的な大きさに成長することはありません。
そうはいっても成人男性とほぼ変わらない大きさに成長し、体重も20キロから最大で50キロと実際見てみるとかなりの迫力があります。
1000匹を超える大きな群れで行動し、高い遊泳力 (時速24キロ) に共食いも厭わない獰猛な性質は、イカ界最強といえます。
その攻撃的な性質に加え、攻撃時、外套を赤と白に光速で明滅させることから、「レッド・デビル (赤い悪魔)」の異名を持ちます。
また、人をも襲うと恐れられ、キラー・スクイッド (killer squid, 「殺人イカ」) なる異名も持ちますが、これについては本当かどうかは分かりません。
確かに、レッド・デビルの群れの摂食風景を見ると、サメの狂乱状態を彷彿とさせ、あの中に落ちたらひとたまりもないんじゃないかとは思わせます。
が、レッド・デビルの主食は小魚や小型の甲殻類、同胞を襲うといってもターゲットになるのは弱ったり傷ついた固体で、積極的に人間を襲うというデータはありません。
ただし、漁師の間では仲間が船から落ちてレッド・デビルに食われて死んだと主張する人が存在するのは確かです。
人を襲うというのが信用できないなら、おまえレッド・デビルの群れに飛び込んでみろ!と言われたら1秒で断りますが。
イカやタコといった頭足類は短命で知られますが、レッド・デビルもこの運命には抗うことは叶わず、これほどの大きさを誇りながら寿命は基本たったの1年です。
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