■ダイオウイカが勝てるかもしれない新たなライバル現る ~ ヨゴレ
互角の勝負をしているとは言えませんが、ダイオウイカ (Architeuthis dux) の宿命のライバルといえばやはりマッコウクジラ (Physeter macrocephalus) というイメージがあります。
体格差があり、ダイオウイカはおそらく一方的に詐取される側でしょうが、ただでは食べられまいとその戦いの痕跡を相手の頭部や体に残します。
鮮明に傷跡が残るのはイカの吸盤がタコのそれとは異なり、吸盤の中に「鋭い歯」を蓄えたリングを備えており、マッコウクジラの皮膚に深く突き刺さるからです。
さてこのほどダイオウイカの新たなライバルとしてヨゴレ (Carcharhinus longimanus) が加わりました。
写真家のデロン・ヴェルベック (Deron Verbeck) 氏によりハワイのコナ・コースト (Kona coast) 沖で撮影されたヨゴレ の体にゴルフボール大の丸い跡がいくつも残っていたのです。
先端が丸みを帯びた背ビレと胸ビレが特徴的で、特に胸ビレは体に比して非常に巨大です。
体色は生息地により個体差がありますが、基本は背側がグレーと腹側がホワイトのツートン、しかしその境目は不規則かつ不鮮明なため、まるで「汚れ」ているように見えることからヨゴレと呼ばれます。
最も潤沢なサメの一つと言われていたヨゴレですが、主にフカヒレを目的とする乱獲がたたり猛烈な勢いで数を減らしていると言われています。
ヨゴレはグルメというのか悪食と言うべきか何でも食べることで知られ、マグロやサバは当然のことリュウグウノツカイやミズウオといった深海性の魚類から、ウミガメやイルカ、海鳥まで広くカバーします。
そしてその美食のテリトリーは、頭足類の中でも最大サイズを誇るダイオウイカにも手を出している疑惑が深まりました。
ヴェルベック氏の写真を見たサメの生態学者ヤニス・パパスタマティオウ (Yannis Papastamatiou) 氏によれば、このヨゴレにつけた吸盤の持ち主の種を特定することは難しいものの、ヨゴレが巨大イカを襲った証拠を捕らえた初めての写真だといいます。
(ヨゴレ)
撮影されたヨゴレの体長は7フィート (約2.1メートル) ほど、イカの種類は特定できないもののこのヨゴレと互角かそれ以上の大きさであることは間違いないそうです。
おそらくはマッコウクジラ相手ではほぼ全敗と思われるダイオウイカですが、もしかするとヨゴレになら勝てるかもしれません。
そんな深海で起きているであろう巨大生物同士のバトル、いつの日か動画で見たみたいものです。
(参照サイト)
SyFyWire
National Geographic
Phis.ORG
(関連記事)
0 件のコメント:
コメントを投稿