■1969年に起きた巨大吸血コウモリ殺人事件 ~フフイのジャイアント・バット
1969年1月6日、メキシコの新聞が伝えたところによると、アルゼンチン最北のフフイ州 (Jujuy) にある山岳地帯、ウマワカ峡谷 (La Quebrada de Humahuca) で巨大な吸血コウモリが出没しており、近隣の住民たちがパニックに陥っているといいます。
体重は5~6キロもあるといい、これはコウモリに当てはめるととてつもない重さになります。
こちらのフフイ州のオオコウモリと関係があるのか分かりませんが、同紙はメキシコ本国でも巨大コウモリの襲撃があり、就寝中の男女二人が殺害されたと報道しています。
さてさて、、、
現世最重量のコウモリはおそらくインドオオコウモリ (Pteropus medius) で1.6キロ程度、翼開長は1.5~1.8メートルほどと、世界最大の翼開長を持つオオコウモリのひとつです。
フィリピンオオコウモリ (Acerodon jubatus) も最大クラスの個体であれば同等の重さ、インドオオコウモリ以上の翼開長も期待できます。
で、真面目に考えることでもないかもしれませんが、鳥とは体の構造も翼の構造も違いすぎ、あのコウモリの華奢な体で体重5~6キロを飛翔させるにはとてつもなく大きな筋肉と大きな翼が必要になります。
現生で知られる吸血コウモリはみな小柄で、しかもナミチスイコウモリ (Desmodus rotundus)、ケアシチスイコウモリ (Diphylla ecaudata)、シロチスイコウモリ (Diaemus youngi) の僅か3種しか存在しません。
んで、現生の吸血コウモリの最大種はナミチスイコウモリで、体長僅か8~9センチ、翼開長が最大18センチ、頑張って20センチといったところでしょうか。
ちなみに、中南米にはオオコウモリ類は棲息していおらず、その代わりといっては何ですが、チスイコウモリモドキ (Vampyrum spectrum)、という、名前に「チスイ」とつきつつ血を吸わず、「オオコウモリ」とつかぬも翼開長1メートルを超す、オオコウモリっぽいオオコウモリ (の仲間) じゃないちょっと珍しいコウモリは棲息しています。
とういわけで、フフイの巨大吸血コウモリは昔のただのフェイクニュース、終わり、終わり、となりそうですが、、、
UMAの正体とえいば絶滅種の生き残りが定番です。
絶滅種には現生で考えられないようなデカいのもたくさんいますし、吸血コウモリの絶滅種にだって期待をかけていいのでは?
が、吸血コウモリに限っては (現時点では) やや厳しそうではあります。
というのも、絶滅種デスモダス・ドラキュラエ (Desmodus draculae) が知られている史上最大種の吸血コウモリの仲間ですが、翼開長は50センチほどだからです。
オオコウモリ類の小型種よりも翼開長がありますが、インドオオコウモリやフィリピンオオコウモリ、ビズマークオオコウモリ (Pteropus neohibernicus)、ライルオオコウモリ (Pteropus lylei) 等々、オオコウモリの中の大型種には足元にも及びません。
但し、そうはいっても吸血コウモリの仲間、翼開長50センチもある吸血コウモリが人間に向かって来ようものなら大騒ぎになるのは間違いありません。
で、実際のところデスモダス・ドラキュラエの絶滅はわりと最近という説もあり、それが本当であれば生存説もまんざらでもありませんよ!(チスイコウモリモドキの誤認が可能性としては最も高いですが)
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