■見たこともない形状の巨大ザメの襲撃 ~ ピコ・シャーク
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かつて捕鯨乗組員であった父親から海の怪物についていくつか話を聞いています。
1960年代から1970年代はアゾレス諸島において捕鯨はとても重要な産業のひとつでした。
アゾレス諸島の周りの海ははとても深く、当時、得体のしれない生物の目撃はたくさんあったといいます。
その中にはもし自分の父親が話したものでなかったら、決して信じなかったであろうものも2つ含まれています。
ひとつ目は簡単に話しましょう。
父の乗っていた捕鯨船は全長35フィート (約17メートル) 程でしたが40フィート (約12メートル) のオスのマッコウクジラを捕鯨し牽引していた夜に異変が起こりました。
夜の12時ごろ、船内は皆寝静まっていた時間、船ごと下から持ち上げられる感覚があり、父だけが目覚めたといいます。
父は顔を上げ船外を眺めると見たこともない巨大なヒレが目に入りました。
全体ははっきり見えなかったものの少なくとも乗っていた捕鯨船よりはるかに大きな生物だったことは分かったようです。
朝になり調べてみると牽引していたマッコウクジラが一部食べられ、体には10フィート (約3メートル) 程の咬み傷が残されていました。
もう一つの話はそれから数年経ったある日のことです。
その日、父は私たちの住む島から11マイル (約18キロメートル) 離れたピコ島に行く用事がありました。
当時ピコ島は捕鯨したクジラから鯨油を取る作業をしており、クジラの解体が連日行われ、その血は常に海へと流れ出ていました。
父がピコ島へ向かったときに乗っていた捕鯨船は先ほど話したものと大きさは同程度のものでした。
無事にピコ島の港に入ろうとしたとき、父は捕鯨されたクジラが港のクレーンに吊り下げられているのに気付きました。
その日はとても天気が良かったこともあり、解体されたクジラの血や脂肪が波にさらわれることもなく、そのまま残っていたといいます。
と、その時です、父は船体の近くに巨大な尾鰭が浮かび上がってきたことに気付きました。
父は凍り付き、同僚に即座にエンジンを止めるよう指示しました。
父が同僚に横を見るように言うと黒い影が船の横を通り過ぎようとしており、それは捕鯨船よりはるかに大きな「サメ」でした。
そのサメは港にクレーンで吊り下げられているクジラに向かって泳ぐといきなり水上に飛び出し、クジラに咬みつくと、鯨の体を食いちぎろうと体を振って暴れました。
クレーンはその激しい動きにおれそうになっていたといいます。
しかしそのとき父はサメの姿をはっきりとその姿を目にすることができました。
黒い体色をしたサメでしたが、頭部が角張った四角形、腹部は灰色でフジツボが大量に付着していたといいます。
その姿は父だけではなく桟橋にいた人々もみな震えながら見守っていたといいます。
数時間するとサメの姿はなくなり父たちは無事に港に入ることができましたが、あれはきっと深海に生息するサメに違いないと父は語っています。
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今回はピコ・シャーク (Pico shark)。
アゾレス諸島はポルトガル領ですがポルトガルから西に1300キロメートルも離れた北大西洋上に浮かぶ島々です。
ピコ島を含む9つの島で形成されており、投稿者がいうようにかつて捕鯨基地として使われていました。
さて怪物の話をしましょう。
巨大なサメといえばUMA的にはメガロドン (Otodus megalodon/Carcharodon megalodon) ですが、投稿者の父親が見たものはメガロドン (タイプ) ではないのはほぼ確実なようです。
頭部の形状が四角い、というのは現在のメガロドンがホホジロザメ (Carcharodon carcharias) を巨大化させたような姿と推測しているのと全く異なるからです。
まあメガロドンは歯しか発見されていないため、実は四角い頭だったという可能性もゼロではないですが、、、
ただホホジロザメもメガロドンもネズミザメ目のサメはみな水の抵抗を受けにくい紡錘型をしており、有能なプレデター (捕食者) であることを考えるとやはり頭が角ばっているメガロドンは考えにくいですね。
形状的・大きさ的には現生のジンベエザメ (Rhincodon typus) がしっくりきます。
現生最大のサメにして18メートル以上になる場合もあり、20メートル以上の個体もいたとかいなかったとか。
とにかく投稿者の父親が載っていた捕鯨船より大きく背中は黒くて腹部は白い、フジツボだらけになるほどはちょっと珍しいですが。
まあ見た目はジンベエザメに似ています。
ただね、ご存じの通りジンベエザメはプランクトン食であり泳ぎもかなり遅く (平均時速4キロメートル) 瞬間的に頑張っても4ノット (時速7キロメートル) ほど。※最大7ノット (時速13キロメートル) 説もあります。
人喰い (食べてないけど) ジンベエザメ説はやはり無理であり、ジンベエザメに似た (もしくは擬態した) 謎のプレデターシャークということにしておきましょう。
泳ぎが遅くてもジンベエザメに似ていることから獲物の方から勘違いしてほいほい寄ってきそうじゃないですか。
メガロドンタイプじゃない巨大ザメのUMAもなかなか珍しくていいですよね。
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