湾岸戦争の際、あの屈強な米兵たちを本気で震え上がらせた生物、キャメルスパイダー (camel spider)。
キャメルスパイダーとは中東に生息する巨大なヒヨケムシ (Solifugae) の俗称です。
1000種以上知られており、その姿からクモやサソリの仲間 (クモガタ類) であることは分かるでしょう。
通常は体長が1~5センチ程度ですが (といっても足が長いので、想像以上にボリュームがあります)、中東に生息するキャメルスパイダーと呼ばれるヒヨケムシは体長が10~15センチもあるといわれています。
キャメルスパイダーという呼ばれ方をするものの上記の通りクモではありません。
さて、このキャメルスパイダー、なぜそれほどまでに米兵を震え上がらせたのか?
もともと「キャメルスパイダー」という呼称は、ラクダの厚い皮膚を食い破り、内臓を食い荒らすことからそう呼ばれているといわれています。
ところが戦争により状況は変わりました。
キャメルスパイダーのターゲットが砂漠地帯にキャンプを張る米兵たちに向けられたのです。
人間など一咬みで麻痺させる毒を持つといわれ、米兵の眠るテントに襲撃をかけるようになりました。
おちおち眠ることも出来なくなったものの、起きていたからといって安全ではありません。
砂上を走るのに特化したキャメルスパイダーたちの走る速さは、まるで砂の上を滑るように時速30マイル (約時速50キロ) も出せるのです。
人間は平坦な地面で短い距離ですらこのスピードを出すことはできません。
とても人間の脚力で逃げ切るのは不可能であり、対峙して倒すか、車で逃げる以外にありません。
また非常にジャンプ力があり、追いかけてきて人間に飛びつきそのまま攻撃を仕掛けるといいます。
昼間の砂漠で咬まれようものなら、体は麻痺し灼熱の太陽に焼かれながらキャメルスパイダーに食われるという究極の拷問を味わうことになります。
恐ろしい、、、こんな生物が実在するとは、、、
(image by Wikipedia "Solfugae")
実はこれ、見慣れない「キャメルスパイダー」の恐ろしい姿から、極度の緊張状態に耐えかねて戦場で生まれた都市伝説です。
強力な牙を有するアゴを持っているものの、キャメルスパイダーにはサソリのようにお尻に毒針もなければ、牙に毒腺をもっているわけでもありません。
臆病で人間を意図的に襲うこともなければ、ラクダを襲うこともありません。
追いかけてきませんし、ジャンプもできません。
「キャメルスパイダー」という呼称もラクダを襲うからではなく、腹部を高く持ち上げる姿がヒトコブラクダのように見えるから、とか、ラクダのように砂漠にすんでいるから、といったことに由来します。
ただし、人間を追いかけることはありませんが、キャメルスパイダーは夜行性のため光に誘われてテント内に入ってくることもあるようです。
また、時速30マイルは出るわけもありませんが、俊足であることは確かで、時速10マイル (約時速16キロ) ぐらいは出せるという説もあります。
通常は昆虫を主食としますが、小型のトカゲ、ヘビ、鳥なども捕食します。
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