前回に続いて連続でヘビのネタ、というか何も書いていなかったのでストックのものを。
今回はたびたび登場する北米・カナダの民間伝承系UMA、フィアサム・クリッターの中からジョイント・スネーク (Joint snake) をピックアップします。
人間に対しフレンドリーな種が少ないにも関わらず、かつ、とても実在するとは思えない荒唐無稽さ、そしてなぜか憎めず愛らしい、そこがフィアサム・クリッターの特徴です。
さて、今回のジョイント・スネーク、まさにあり得ないUMAで、体をバラバラに切り離した後、再度ひとつに接合 (ジョイント) することができるヘビです。
バラバラになった体の一部に、異物を置いておくと、その異物までも体の一部と勘違いして接合してしまう、と言われています。
んなアホな。
確かに、そう思う人も多いかもしれませんが、フィアサム・クリッターのほとんどは、実在する生物が元になっています。
といっても、さすがにジョイント・スネークは無理でしょう、、、と思いきや、元になった生物が存在すると考えられています、グラス・リザード (Glass lizard) です。
グラス・リザードとはアシナシトカゲの仲間 (Anguidae) のうち、四肢が完全に退化してしまっアシナシトカゲの呼称で、120を超えるアシナシトカゲ科のうち15種ほどにつけられた英名です。
当サイトを見ている方ならミミズトカゲ (Amphisbaenia) は頻繁に登場するのでご存じでしょう。
ミミズトカゲもアシナシトカゲも、基本的には四肢が退化しヘビのような姿をしているものが多いですが、実際には四肢が残っているものも多いです。
ミミズトカゲの姿ががワーム (ミミズ・イモムシ) 系だとすれば、グラス・リザードはヘビの頭部にトカゲの頭をひっつけたよう見た目 (まぶたがあり、耳の穴がある) 、といっっても大して変わりませんけど。(勇敢な顔をしたヘビ、という感じ)
グラス・リザードはトカゲとしてはちょっと体は長めではありますが、まさにトカゲから四肢を取り去ったような姿をしています。
グラス・リザードの「グラス」は、「草」の意の「グラス (grass)」ではなく「ガラス」の意の「グラス (glass)」で、このグラス・リザードという名は尾がまるでガラス細工のように、いとも簡単に切断されて (自切して) バラバラになってしまうことに由来します。
ヘビのように見えようと、アシナシトカゲはヘビではなくトカゲですから、自切した尾は再生されます。
18世紀ごろにはヘビだと思われていたアシナシトカゲですが、このように砕け散った尾が時間とともに再生されるその様から、あたかも「バラバラになったヘビが元通りになる」という見識で、ジョイント・スネークは誕生したものと考えられています。
(バルカンヘビガタトカゲ)
(image credit by Wikicommons)
ちなみにグラス・リザードの最大種はバルカンヘビガタトカゲ (ヨーロッパアシナシトカゲ, Ophisaurus apodus) で、最大体長135センチを誇るといいます。
英名のシェルトピュージク (Sheltopusik) は「黄色の腹部」を意味するロシア語の "zheltopuzik"に由来するそうです。
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