■たった一度だけ捕獲された幻の巨大モモンガ ~ ナムダファモモンガ
今回はUMAの話ではありません。
インド北東部のアルナーチャル・プラデーシュ州には広大な国立公園、ナムダファ国立公園 (Namdapha National Park) があります。
この国立公園で今からおよそ40年前の1981年、現在までただの一度だけ捕獲された幻のモモンガがいます、ナムダファモモンガ (Biswamoyopterus biswasi) です。
まさに超希少生物です。
インドの希少生物といえばおそらくバライロガモ (Rhodonessa caryophyllacea) のほうが有名かもしれませんがナムダファモモンガは同レベルの希少性です。
(すでに絶滅したともいわれているバライロガモ)
ナムダファモモンガ属 (Biswamoyopterus) は長い間本種のみ構成されていましたが、2013年にラオスオオモモンガ (Biswamoyopterus laoensis)が、2019年にガオリゴンモモンガ (Biswamoyopterus gaoligongensis) が新たに加わり全3種となりました。(和名は分からないので直訳してこう呼ぶことにします)
いずれもサンプル数1~2体と少なく、平均サイズなど知る由もありませんが、この少ないサンプル数の中でもっとも大きいのがラオスオオモモンガで体長46センチ、尾長62センチで全長108センチにもなります。
ナムダファモモンガは体長40.5センチ、尾長60センチで100.5センチと僅かに及びませんがこの程度のサンプル数でいずれが最大種かは判断できません。
非常に大きいモモンガの仲間であるにも関わらず、人目につかず、ナムダファモモンガのサンプル数は発見から40年でいまだに一匹だけ、他2種に至っては発見されて間もないという不思議な不思議な生物です。
ラオスオオモモンガはいわゆるブッシュミート・マーケット (野生動物の食肉市場) で発見されたことから地元ではそれなりに知られた存在であった可能性もあります。
とはいえ少なくとも科学者の手に渡ったのは3種合わせても数匹というまさに幻の生物です。
ナムダファモモンガに至っては40年間捕獲されていないことからも、絶滅に近い状態にある可能性も考えられます。
しかしインドのこの分野の第一人者ムラリ (Murali) 博士とアーメド (Ahmed) 博士はこの状況を楽観視しているといいます。
その理由はナムダファ国立公園のそのほとんどが人跡未踏であり調査が進んでいないから。
一応、この40年間で幾度かの目撃情報は報告されているものの、アルナーチャル・プラデーシュ州だけでも14種のモモンガやムササビが生息しており、その目撃が本当にナムダファモモンガかは確実なものではないといいます。
同地域に生息するオオアカムササビ (Petaurista petaurista) は体格的に似通っていることもあり特に誤認される傾向にあるといいます。
(オオアカムササビ)
それゆえ1981年のただ一匹のサンプルのみがナムダファモモンガの実在する証拠となっています。
多くのUMAですら (そのほとんどは誤認といえども) もっとたくさんの目撃があります。
タスマニアタイガーに至っては絶滅宣言後 (1936年) から80年以上も経った現在でも数ヶ月に一度は公的機関に目撃情報が寄せられるほどです。
ムラリ博士いわく、ひとえにこれはモモンガやムササビの人気の無さが原因だといいます。
インドではこれらの生物の研究者が少なくナムダファモモンガに限らず、ほとんど調査は進んでいないといいます。
前述したとおり、ムラリ博士はナムダファモモンガの生存を楽観視しているといいますが、クラウドファンディングで集めた資金を使い2019年11月から2020年4月までに行われたナムダファモモンガの遠征調査でも写真一枚撮影することに成功しませんでした。
(参照サイト)
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