■スクラップ工場で巨大トカゲの卵が孵化? ~ ミルトンリザード
1975年7月、アメリカ、ケンタッキー州のミルトン (Milton) 近郊のカニップ・クリークで巨大なトカゲが目撃されたという都市伝説があります。
目撃したのは兄クラレンス・ケーブル (Clarence Cable) さんと弟のギャレット (Garrett) さんのケーブル兄弟によるものです。
初めに目撃したのは兄のクラレンスさん、自身が経営する車の解体場を見回りしているときに巨大な生物と遭遇しました。
その怪物はオオトカゲに似ていたことから後にミルトン・リザード (「ミルトンのトカゲ」, Milton lizard) と呼ばれるようになります。
体長は15フィート (約4.5メートル) ほど、体の一部に白と黒のストライプ模様と斑紋があり、口の下側が白っぽかったということから腹部全体が淡色系の配色だった可能性があります。
クラレンスさんに気付いたミルトン・リザードは威嚇するかのようにシューシューと音を立てたといいます。
(アメリカワニ / Crocodylus acutus)
(image credit by Wikicommons)
それから2~3週間ほど音沙汰はなくオオトカゲのことも忘れかけていた同月27日のこと、その怪物は再び現れました。
この時目撃したのは弟のギャレットさん、解体場を歩いているとスクラップされた車が揺れ動いていることに気付きました。
車が、それもスクラップされた車が動くはずがありません、驚いたギャレットさんがその車を凝視すると、スクラップの隙間から大きなトカゲが這い出てきました。
それは以前、兄の見たものと同じミルトン・リザードでした。
ギャレットさんはその場を離れ、銃を持って急いで戻りましたが既にトカゲの姿はありませんでした。
しかし翌日、ギャレットさんは再びミルトン・リザードに遭遇、ミルトン・リザードは威嚇しながらも解体場に隣接する林へと逃げました。
ギャレットさんは携帯していたライフルで藪に向かって発砲しましたが当たらなかったようです。
ミルトン・リザードの正体は?
兄のクラレンスさんは西部から運ばれた廃車の中にオオトカゲの卵が紛れ込んでおり、解体場の熱で孵化したものと推測しました。
面白い推測ですがあまりありそうにもありません。
そもそも日本と比べると巨大な生物が多く生息する北米ですが、トカゲに限っていえば大したことがありません。
(ヒラ・モンスター / Heloderma suspectum)
(image credit by Wikicommons)
北米最大のトカゲはヒラ・モンスター (Gila monster) ことアメリカドクトカゲ (Heloderma suspectum) で最大個体で22インチ (56センチメートル)。
巨大オオトカゲランキングのトップ勢はすべてオオトカゲ属 (Varanus) で占められており、ヒラ・モンスター勢のドクトカゲ属 (Heloderma) が入る余地はありません。
ちなみに巨大 (重量) なトカゲのランキングトップはご存じコモドドラゴンことコモドオオトカゲ (Varanus komodoensis)、以下ミズオオトカゲ (Varanus salvator)、ハナブトオオトカゲ (Varanus salvadorii)、ナイルオオトカゲ (Varanus niloticus)、ペレンティーオオトカゲ(Varanus giganteus)、、、といった感じで前述の通りオオトカゲ属が独占します。
単に体長だけでいえばほっそりとはしているものの尾の長いミズオオトカゲがコモドオオトカゲを上回る場合もあります。
さてアメリカ代表のヒラ・モンスター、個体差はあるもののクラレンスさんが語るミルトン・リザードの配色はかなり似ています。
但し大きさ的にどう転んでもミルトン・リザードの正体とは考えづらいところです。
ケーブル兄弟が見たものが本当にトカゲであったとすれば間違いなく新種確定です。
アメリカに生息する既知生物であれば生息域から外れるうえ、解体場に棲むとは到底考えられませんが最大体長20フィート (約6メートル) を突破するアメリカワニ (Crocodylus acutus) ぐらいでしょうか。
ミルトン・リザードはタイプ的にウイリアムズ・レイクの怪物とかなり似ているため、そちらもご参照ください。
(関連記事)
0 件のコメント:
コメントを投稿