サバクツノトカゲ (desert horned lizard / Phrynosoma platyrhinos) は体長10センチほどの小柄なトカゲで、アメリカ西部の砂漠に生息しています。
名前に聞き覚えがない人でも「目から血を飛ばすトカゲ」と聞けばほとんどの人が「ああ、あれね」となるでしょう。
名前の通り、頭部のゴツゴツした突起がトレードマークです。
主食はアリを中心とする昆虫、性質は極めて温和。
威嚇する際、空気を吸い込んでフグのように体を膨らました姿がまるでカエルのように見えることからトゲヒキガエル (horny toad) とも呼ばれます。
膨れ上がったうえで舌をだらりと出したり、裏返しにひっくり返ったりして死んだ振りをしてみせます。
生餌にしか興味を持たない生物にはこの「膨れ上がって死んだ振り」もなかなか効果があるみたいですが、いつもいつもそううまくはいきません。
これで無理と分かると大声で鳴く、咬む、頭を振って暴れる等、いろいろ抵抗します、が、なかなかアレは出しません。
(image credit by YouTube "National Geographic")
それもそのはず、必殺技の目からビームならぬ目から血液は全血液1/3を放出する捨て身の防御策だからです。
人間であればほぼ致死量です。
この目からビームはもちろん眼球から発射されるわけではなく、眼球のすぐ横にあるバルブから噴射され、飛ばす方向も自由自在です。
最大飛距離は体長の10倍以上の1.5メートル、天敵の顔、特に目をめがけて噴出しますが、これはびっくり効果だけでなく、天敵であるコヨーテなどイヌ科動物の嫌がる物質を血液に混ぜ込んで飛ばしています。
サバクツノトカゲは敵がひるんだ隙に貧血も起こさずすたこら逃げおおせます。
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高圧で体液を目から発射する
返信削除名づけて 空裂眼刺驚(スペースリパー・スティンギーアイズ)!