アメリカ、オレゴン州にある湖、ワラウア湖 (Wallowa Lake) には少なくとも2種類のUMAの目撃があります。
ひとつは典型的なネッシータイプのレイク・モンスター、通称ビッグ・ウォーリー (Big Wally) で単にワラウア湖の怪物 (Wallowa Lake monster) と呼ばれることもあります。
そしてもうひとつが「巨大甲殻類」です。
今回はこの「巨大甲殻類」の方を紹介します。
UMAの目撃は曖昧なものが多いですが、この巨大甲殻類はその中でも特に曖昧です。
なにせ呼び方も「巨大甲殻類 (giant crustaceans)」ですからね。
「甲殻類」ではあまりに範囲が大きすぎます。
カニなのかエビなのかザリガニ、それともロブスター?アイソポッド (グソクムシ) だって悪くありません。
さてこのUMA、甲殻類の中でもいったいなんなのかはっきりしないものの、特徴としてとにかく巨大で「大きなハサミ (鉗脚)」を有しているということだけははっきりしています。
狭義に「ロブスター」とは海生のアメリカン・ロブスター (Homarus. americanus) とヨーロピアン・ロブスター (Homarus. gammarus) のみを指します。
オレゴン州は海に面しているもののロブスターの生息しない太平洋であり、またワラウア湖も海から随分と離れた内陸に位置するため、間違っても湖に紛れ込むことはないので、ロブスター説は外しておきましょう。
アイソポッドにもジャイアント・アイソポッド (ダイオウグソクムシ, Bathynomus giganteus) のような超巨大種もいますが、大きなハサミは持ちませんから、こちらも除外。
(深海の掃除屋、ダイオウグソクムシ)
(image credit by Wikicommons (NOAA))
やはりザリガニかカニが有力でしょう。
淡水の甲殻類ではタスマニアオオザリガニ (Astacoipsis gouldi) が最大であり、旧サイト (UMAファン) にて「ワラウア湖の巨大ザリガニ」として紹介しましたが、いくら特徴を聞いていもカニかエビかすら判断できません。
というわけで今回は趣向を変えて「ワラウア湖のビッグ・クラブ (Wallowa Lake big crab)」と、巨大なカニということにして紹介します。
現生最大のカニは日本ではおなじみのタカアシガニ (Macrocheira kaempferi)、日本近海にのみ生息するため英名はジャパニーズ・スパイダー・クラブ (Japanese spider crab) と呼ばれます。
脚を広げた大きさが3.7メートル、甲羅の幅は40センチ、体重19キロになります。
次いで大きいのがタスマニアオオガニ (Pseudocarcinus gigas)、脚は短いためタカアシガニの脚を広げた長さには遠く及びませんが、甲羅の幅は46センチとタカアシガニを上回り、ずっしりとした体型で最大体重は18キロ弱とタカアシガニに引けを取りません。
(タスマニアオオガニ)
(image credit by Wikicommons)
いずれも北米から恐ろしく離れており、しかも海生です。
淡水性のカニで現生最大のものは調べてもまちまちでよく分からない上に海生のものと比べると圧倒的に小さく、候補になりえませんでした。
ポタモン属 (Potamon) が淡水生最大のカニでしょうかね?自信ありません。
ヨーロッパに生息するポタモン・フルヴィアティレ (Potamon Fluviatile) で甲羅の幅は5センチぐらいだそうで、足を広げて十数センチといったところでしょうか。
というわけで淡水性のカニはUMAとしてはとて心許ない大きさであり、やはりザリガニの方が圧倒的に候補になりえます。
しかし今回はカニにスポットを当てる規格であるため、ザリガニにはいったん下がっていてもらいましょう。
それではカニではありませんが、ヤドカリの仲間であるヤシガニ (Birgus latro) はいかがでしょうか。
(ヤシガニ)
(image credit by Wikicommons)
「巨大甲殻類」という、曖昧な表現もカニだかエビだかよくわからない巨大な甲殻類、見慣れないヤシガニを見たため、という好都合な考え方もできます。
脚を延ばした全長は1メートル近くにもなる、いわずと知れた陸生最大の節足動物です。
但し、オレゴン州に、というか北米にヤシガニは生息しておらず、英名は和名と同義のココナッツ・クラブ (Coconut crab)、基本的にヤシの生息域と一致し、陸生といえど産卵や脱皮の関係から海岸沿いにしか生息できません。
ワラウア湖の巨大甲殻類の目撃は絶えて久しく既に100年以上目撃はないといいます。
このことから、絶滅したと考えられており、誰かがペット等興味本位でヤシガニを北米に持ち込んだものの脱走し、それがたまたまワラウア湖付近で目撃されたことからこの伝説は生まれたのかも、ということでこの話を締めたいと思います。
アメリカって広いからあちこちにUMAがいるのねw
返信削除