(image credit by Wikicommons/Public Domain)
■16世紀にオランダに現れた巨大な河童
オランダの漁村スケベニンゲン (Scheveningen)。
中高生男子の心に深く響く地名として有名ですが、16世紀、この漁村で漁師を営む両親のもとに生まれたアドリアーン・クーネン (Adriaen Coenen) の作品こそが今日のメインです。
アドリアーンは日ごろから目にする多くの魚たちをはじめとする海洋生物に魅了され、陸生の動物や昆虫等にも興味を抱くようになり、生物学に傾倒していったようです。
そして彼は16世紀としては画期的な図版を駆使した本をいくつか発表しています。
文章も挿絵もすべてかれひとりによるもので、古き良き時代を感じさせる素晴らしい挿絵が多数収録されています。
その彼の著作ののひとつに「Visboeck」という本があります。
日本語に訳すと「魚の図鑑」とか「魚の本」といった感じでしょうか、邦訳版があるのかどうかも分からない上、オランダ語に明るくないので確かなことはわかりません。そんなニュアンスのタイトル本と思っていただければいいです。
この本はアドリアーン本人の経験則による知識に加え伝聞なども交えて書かれているため、実在しているものだけでなく、実際には存在していないであろう、想像上のものと思われる生物も登場します。
その中で気になる挿絵のひとつがトップの画像。
遠近法が怪しいものの、周りの人物の大きさから、この謎の生物の体長は優に3メートルはあると思われます。
裸の原住民らしき人々に矢で射られ、サーベルを持った人物に刺されかけているという、絶体絶命の怪物。
後肢2本で立ち上がり、前肢は人間の腕のように長く、その先端には指も確認できます。
シルエットは日本の河童そのものですが、頭部はスキンヘッド、乳房?へそ?性器?そのように見えるものが体中央に並んでいます。
多くの生物が人間の活動により絶滅してしまった現代とは違う16世紀といえど、こんな生物が存在するとは信じがたいです。
(実在したと思われていたビショップ・フィッシュ)
とはいえ、16世紀ごろといえば、ダイオウイカをはじめとする巨大イカや巨大エイ、巨大サメ等も風変わりな人間のように捉えられていた時代であったこともまた事実、何らかの生物が誤認されたと考えてもそれほど不思議なことではありません。
この人間の身長を軽々と超え、甲羅を背負った巨大な河童を思わせるシルエット、これは最大サイズのものであれば甲羅の大きさだけで2メートルを超える巨大なウミガメ、オサガメ (Dermochelys coriacea) がその正体の候補のひとつであることは間違いないでしょう。
(オサガメの全身骨格/image credit by Public Domain)
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