■スマトラン・ビッグフット ~ オラン・ガダン
インドネシアのスマトラ島は狭いながらいくつかの獣人伝説があります。
一番有名なのは文句なくオラン・ペンデク (Orang Pendek) でしょう (エブ・ゴゴ)。
一般的に、UMAは大柄の方が人気があり、ビッグフット (Bigfoot) 然り、イエティ (Yeti) 然り、獣人と呼ばれるものも同様です。
しかしスマトラ島に限ってはそうではないようです。
2~3メートル級がひしめく獣人界においてオラン・ペンデクはとても小柄で、せいぜい大きくても1.5メートルといわれているからです。
これは地理的にも近いスマトラ島のオラン・ペンデクが、インドネシアのフローレンス島に実在した背丈1メートルほどのホモ・フローレシエンシス (Homo floresiensis) の正体として頻繁に登場することによります。
オラン・ペンデクと似たような存在でスマトラ島にはオラン・クブ (Orang Kubu) なる獣人伝説がありますが、こちらは実際に先住民族であるクブ族 (Kubu) が住んでおり獣人ではなく単なるマレー人による先住民族に対する蔑称の可能性が高そうです。
今回紹介するのはオラン・ペンデクの陰に隠れてしまっているオラン・ガダン (Orang Gadang) です。
このオラン (Orang) という言葉はオランウータン (Orangutan) と同義でインドネシア語で「人」を意味します。
ペンデク (pendek) は "short"、ガダン (gadang) は "big" を意味するため、オラン・ペンデク、オラン・ガダンはそれぞれ「小さい人」、「大きい人」を意味します。
つまりはオラン・ガダンは巨大な獣人であり、スマトラ版ビッグフットといえます。
オラン・ガダンは全身黒い毛で覆われており、体長は7~12フィート (約2.1~3.6メートル) と本家 (ビッグフット) を凌ぐほどの背丈をしています。
ちなみにスマトラ島ではなくマレーシアにはオラン・ガダンと特徴がそっくりのオラン・マワス (Orang Mawas) という獣人がおりますが、こちらは (おそらく)「敏捷な人」を意味します。
オラン・ダラム (Orang Dalam) という獣人も知られますが、オラン・マワスの別称と考えられています。
(森で遭遇したらギョッとするに違いありません、オランウータン)
ビッグフットさながら人間の足跡の巨大版を残すといわれるものの、その目撃証言に姿を見たというのは非常に少なく、夜間に金切り声を上げているのを聞いた、といった間接的な目撃情報が多いUMAです。
オラン・ペンデクと比較してかなりマイナーなのは上述の通り、デカくてオラン・ペンデクよりも目立つはずなのに目撃が少ないのは不自然!と思う人もいるかもしれません。
しかしオラン・ガダンは食物連鎖の頂点、つまり頂点捕食者である可能性が高いといえます。
必ずしも体が大きいから頂点捕食者とは言い切れませんが、仮にそうである場合、頂点捕食者はそのテリトリーが広く、個体数は著しく少ないため自ずと目撃される確率は低くなるでしょう。
さらに言えば夜行性とも言われています。
とまあ都合よく考え、目撃がほとんどないのは仕方がないと考えましょうw
(樹上性のマレーグマは未知の生物に誤認される可能性があります)
(image credit by Wikicommons)
オラン・ガダンは非常に大柄な獣人であるためその正体の候補にめぼしいものは多くなく、敢えて挙げるとすれば体色やシルエットからマレーグマ (Helarctos malayanus) ぐらいでしょうか。
しかしマレーグマは世界最小のクマと知られ、人よりも小柄であり、少々厳しいかもしれません。
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