2023年3月7日火曜日

絶滅したと思われた巨大昆虫、オオクサカゲロウが半世紀以上ぶりに発見される

(image credit by PennState)

■絶滅したと思われたオオクサカゲロウが半世紀以上ぶりに発見される

和名は分かりませんが北米に生息するオオクサカゲロウの一種、ポリストエコテス・プンクタタ (Polystoechotes punctata) が半世紀以上ぶりに発見されました。

海外では「ジュラ紀の巨大昆虫を発見!」と刺激的でセンセーショナルな見出しが並びますw

これはこのオオクサカゲロウがジュラ紀よりその姿がほとんど変化していない (つまり原始的な) こと、またオオカゲロウにしては翼開長が2インチ (約5センチ) と大きいことに由来します。

発見したのは昆虫学者で節足動物のプロフェッショナル、マイケル・J・スクヴァーラ (Michael J. Skvarla) 教授。

今年 (2023年) ニュースになっているものの、実はこの昆虫が発見されたのは彼がまだ教授になるはるか前、アーカンソー大学の学生であった10年前 (2012年) の話なんです。

スクヴァーラさんは牛乳を買いウォルマート (世界最大級のスーパーマーケット) に出かけた際、そのウォルマートの壁に風変わりな昆虫が止まっているのを目にしました。

確かにカゲロウとしては大柄ではあるものの、昆虫好きでもない限りそれほど気にはならないでしょうし、気になったとしても「気持ち悪い!」ぐらいで終わっていたに違いありません。

スクヴァーラさんはその謎の昆虫を壁から引っぺがすと、それを手に持ったままウォルマートの店内に入り買い物をしたといいます。

家に持ち帰ると彼の膨大なコレクションの標本の中にその昆虫を加え、「アントライオン (antlion)」とだけ走り書きしたラベルを添えました。

アントライオン は直訳すると「アリのライオン」となりますが、意味的には「アリにとってのライオン」「アリに対するライオン」でこの名があります。

日本でもなじみのある昆虫ですが分かりますか?

(成虫の可憐さとは裏腹の幼虫時代のアリジゴク)
(image credit by Wikicommons)

そう、日本では「蟻地獄 (アリジゴク)」と呼ばれる、つまりはウスバカゲロウの幼虫のことです。

若き日のスクヴァーラ氏は当時ウスバカゲロウ (成虫) と認識していたのです。

とはいえ、標本棚に入れるや捕まえたこともすっかりと忘れてしまっていました。

当時博士課程であったスクヴァーラさん、大忙しでそれどころではなかったのかもしれませんね。

時は経ち、ペンシルベニア州立大学の教授となったスクヴァーラ氏、オンラインによる昆虫学講義の最中、自身のコレクション (標本) を生徒たちと一緒に見ているときにその大発見がなされました。

さてこのオオクサカゲロウ、そもそも20世紀中ごろまでは珍しい昆虫ではなかったのに、
なんで絶滅 (と思われていた) したか分かっていません。

人間活動が関与していることはおそらく間違いないでしょうが、決定的な要因がわかっていないのです。

気付いたらいなくなってしまったのです。

消失の原因として多くの仮説が唱えられています。

人類による都市化に伴う環境汚染はもとより人口光の増加が悪影響を与えているのではないか。

また、定期的に (自然に) 起こる森林火災は一部動植物の成長を促進しますが、人為的に完全にそれを抑えこんだことによる弊害ではないか、という説もあります。

理由が分からないと保護するのも困難です。

気になるのはこのオオクサカゲロウが再発見されて既に10年以上経過しているということ、少なくとも2012年にはそれなりの個体群が存在したことは明白ですが、果たして現在でも無事なのかどうか。

(参照サイト)

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