2023年3月8日水曜日

もうひとつの巨大なオタマジャクシ型モンスター ~ イエロー・ベリー・シー・サーペント

(original image credit by The Pine Barrens Institute)

■もうひとつの巨大なオタマジャクシ・モンスター ~ イエロー・ベリー・シーサーペント

今回はシーサーペントとしては少々風変わりな姿のイエロー・ベリー・シー・サーペント (Yellow-Belly Sea serpent)。

敢えてシーサーペントに含めずイエロー・ベリー・シー・モンスター (Yellow-Belly Sea Monster) と呼ばれる場合もあります。

初めて目撃されたのは1876年9月11日、マレーシア沖で蒸気船ネスター号 (Nester) に乗っていたジョン・K・ウエブスター (John K. Webster) 船長と外科医のジェームズ・アンダーソン (James Anderson) 医師の二人の男性によるものです。

体長は巨大で60~100フィート (約18~30メートル)、シルエットが独特でオタマジャクシのようでした。


オタマジャクシ型シーサーペントといえばオーストラリア近海で撮影されたクイーンズランド・シー・モンスター (Queensland sea monster) のほうが圧倒的に有名ですが、配色はまったく異なります。(但し、両者は「オタマジャクシ型」として一般的には同一のシーサーペントに分類されます)

クイーンズランド・シー・モンスターは全身真っ黒でしたがイエロー・ベリー・シー・サーペントは名前の通り (「腹部の黄色いシーサーペント」の意)、腹部側が鮮やかな黄色に染まっていました。

また背部には黒い縞模様が細長い尾の先端まで走っていました。

このシーサーペントはネスター号の周りを30分ほどつきまとっていましたが、やがて海中に没すると二度と上がってくることはなかったといいます。

歴史上一度きりの目撃かと思いきや、1885年10月4日、今度は南アフリカ共和国東部のクワズールー=ナタール州 (KwaZulu Natal) 沖で似たようなシルエットの怪物が報告されます。

複数人が背部に縞模様の走った黄色い腹部を持つ90フィート (約27メートル) の巨大生物を目撃したのです。

このときはネスター号の目撃時には報告されていない「ヒレがあった」という証言も含まれています。

マレーシア沖と南アフリカ共和国近海では地理的にはやや離れおり目撃証言にも多少の違いはありますが、時期的にも9年ほどの差しかなく同一のシーサーペントを目撃した可能性も考えられます。

さてその正体は?

既知生物の誤認というのであれば大きさ的に考えてクジラもしくはサメの二択です。

しかしそんなシルエットをしたクジラやサメはおらず、シーサーペントの中でも特にオタマジャクシ型は誤認候補を挙げることすら困難です。

敢えて候補を上げるとすればジンベエザメ (Rhincodon typus) でしょうか。

(ジンベエザメ)
(image credit by Wikicommons)

上下に扁平し幅広の頭部は尾に向かって先細りであり、背側 (真上) から見ればそれなりにオタマジャクシ型と言えなくもありません。

イエロー・ベリー・シー・サーペントの独特の配色パターンも突然変異的なものと考えればギリギリなんとか。

未知の生物を候補に挙げるとすれば深海性の魚類、特に巨大ザメがいいでしょう。

(セグロウミヘビ)
(image credit by Wikicommons)

ちなみに、実はそっくりな、というかほぼ同義の英名を持つ現生動物がいます、イエロー・ベリー (ド)・シー・スネーク (Yellow-bellied sea snake) です。

和名は英名と逆で「腹部の黄色」ではなく「背部の黒色」に着目しセグロウミヘビ (Hydrophis platurus) という名になります。

世界中の温暖な海域に生息しており決してレアなウミヘビではありません。

海蛇は猛毒な種が多いですが、このセグロウミヘビも同様、猛毒を有します。

但し、このヘビの咬傷による死亡事故は確認されていないようです。

体型もスタンダードなヘビのシルエット、体長は大きくても1メートルに達することはなく残念ながらイエロー・ベリー・シー・サーペントの正体とはなりえないでしょう。

(参照サイト)

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