動物界で1、2を争う人気者、パンダ。
そんなパンダの名を冠した、ユースピノリア・ミリタリス (Euspinolia militaris)、通称、「パンダアリ (panda ant)」と呼ばれる昆虫がいます。
体長は8ミリ程度、南米チリやペルーに生息します。
まん丸の白い頭部に黒い目、ふさふさの毛を生やし、白黒ツートンのその姿はとてもかわいらしくパンダアリの名に恥じない姿をしています。
(image by The ethogram)
さて、まずはこのニックネーム「パンダアリ」という名前がもたらす誤解を解く必要があります、というのもパンダアリは実はアリではなく、スズメバチの仲間です。
羽はありませんが、つまりハチということです。
ほとんどのハチは黄色と黒のツートンで警告色を表現しますが、パンダアリは白黒のツートンで警告色を表現している珍しいハチです。
羽を持たないのはメスだけで、オスは通常のハチと同様、羽があり姿もまったく異なります、いわゆる性的二形というやつです。
このパンダアリ、かわいいニックネーム「パンダアリ」の他に、もうひとつの裏の名前を持ちます、「カウ・キラー (cow killer」、つまり「牛殺し」です。
牛を殺せるぐらいなら人間もイチコロですが、そこまで毒性は強くはないようです。
ただし、いってもスズメバチの仲間、刺されるとかなりの痛みを伴うといわれています。
パンダアリのメスは交尾後、他のアリの巣に潜り込むと幼虫に卵を産み付けます。
卵が孵るとその幼虫の体内に潜り込み、幼虫の体を貪り喰います。
おおよそ幼虫の体を食べつくしたパンダアリの幼虫は蛹になり、蛹から孵った成虫のパンダアリは巣から脱出、と、おおよそ本家のパンダのイメージとはかけ離れたライフサイクルです。
見かけによらず、体はかなり固いクチクラで守られているといい、標本用の虫ピンもなかなか通らないとほどだといいます。
これはパンダアリが乾燥地域に生息するため、水分蒸発を出来る限り抑えるためと考えられています。
巣への侵入・脱出はなんらかのフェロモンによるものと思われますが、この体の固さはその際の緊急時にも効果を発揮しているかもしれません。
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