今回はインドネシアのヌサカンバンガン島 (Nusakambangan Island) に生息すると言われる爬虫類系UMA、カウク (Kawuk)。
カウクの姿を簡単に表現すると、二足歩行するコモドオオトカゲ (コモドドラゴン, Varanus komodoensis) です。
目撃者によれば体高は1.5メートルほど、人間にフレンドリーな存在ではなく獰猛、夜行性のスカベンジャー (屍肉食) といわれているものの「集団で狩りをする」という説もあり、自前で狩ったものから屍肉でももなんでも食べるといったところでしょう。
二足歩行のコモドオオトカゲに似た爬虫類、集団で狩りをし性質も獰猛、といった特徴だけ聞いていると小型獣脚類、完全に映画の中のラプトルを彷彿とさせます。
UMAの正体として恐竜はもっともにんきのあるものですが、まずは現実的に考えて既知の爬虫類であるコモドオオトカゲを誤認している可能性はどうでしょうか?
大きさ的には申し分ありませんが、やはり問題になるのが二足歩行です。
コモドオオトカゲはもちろん二足歩行はできませんが、メスを巡ってのオス同士の戦いで直立して組み合ったり、高いところの餌を取るとき等、後肢二本で立ち上がる仕草を見せます。
瞬間的なこういった仕草を「二足歩行」と誤認した、と考えることもできます。
またコモドドラゴンを始めオオトカゲが集団で狩りをすることはありませんが、集団で屍肉に群がっている姿を「集団で狩りをした結果」と捕らえたのかもしれません。
少しはコモドドラゴン説が少しばかり現実的になってきました。
しかし根本的な問題があります。
(コモドドラゴン)
(image credit by Bahnfrend)
コモドオオトカゲはインドネシアのコモド島 (Komodo)、リンチャ島 (Rinca)、ギリダサミ島 (Gill Dasami)、ギリモタン島 (Gili Motang)、フローレス島 (Flores) にのみ生息しています。
ヌサカンバンガン島は同じインドネシアと言っても、中部ジャワ南西に浮かぶ小さな島であり、コモドオオトカゲの生息する島々とは地理的にかなり離れています。
コモド島からヌサカンバンガン島の間が生息域としてごっそり抜け落ちているのはかなりネガティブな要素です。
ただしコモドオオトカゲ説は厳しいにしろ、未発見の爬虫類である可能性は決して低くありません。
というのも、ヌサカンバンガン島は1920代以降現在に至るまで「監獄島」として使われてきた歴史があり、一般人の立ち入りが許可されたのはつい最近の1996年、人口は先住民族を中心に3000人程度、開発が遅れ手つかずの自然が多く残されているからです。
(最大サイズ3.2メートルを誇るミズオオトカゲ)
(image credit by Carlos Delgado)
決して広大とはいえない島ですがジャワルトン (Trachypithecus auratus) やカニクイザル (Macaca fascicularis) といった霊長類、ヒョウ (Panthera pardus) やホエジカ (Muntiacus muntjak) など珍しい動物が生息しています。
上述の通りコモドドラゴンは生息して (発見されて) いませんが、東南アジア一帯、ジャワ島にも生息する最大個体10.5フィート (約3.2メートル) の記録があるミズオオトカゲ (Varanus salvator) であれば生息している可能性はあるかもしれません。
島内にはトカゲ等の爬虫類もたくさん生息しており、また島付近にはイリエワニ (Crocodylus porosus) もいるといわれています。
とにかく野生動物は豊富で、未発見のオオトカゲが生息していてもそほど不思議なことではありません。
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