2022年8月24日水曜日

ベア湖のレイク・サーペント ~ ベア・レイク・モンスター


■ベア湖のレイク・サーペント ~ ベア・レイク・モンスター

アメリカ、ユタ州とアイダホ州の州境により驚くほど綺麗に両州に均等にまたがる湖、ベア湖 (Bear Lake)。

湖の最大長は約30キロとそれなりの大きさがありますが、さすが広大な土地を持つアメリカだけあって、ベア湖の面積は北米では48位に過ぎません。

湖に溶け込む石灰岩 (炭酸カルシウム) の影響で、湖の色は特徴的なターコイズブルー ~ コバルトブルーを成し、遠浅で美しいカリブ海を彷彿とさせることから「ロッキー山脈のカリブ海 (Caribbean of the Rockies)」とも呼ばれるます。

(ベア湖)
(image credit by Wikicommons)

北米大陸の他の大きな湖がそうであるように、ベア・レイクにも先住民族たちから伝わる「湖の魔物」の噂があります。

しかし、その話を入植者たちに広めたのはジョセフ・C・リッチ (Joseph C. Rich) 氏といわれています。

「インディアンたちはこのベア湖に生息する奇妙なヘビのような生物の伝説を持っており、何か月か前には彼らの戦士たち数人がその生物に連れ去られたと主張しています。

それ以来、インディアンたちが湖畔で眠ることはありません。

もちろん湖で泳ぐこともありませんし、戦士たちは女性や子供たちがベア湖に浸ることも禁じています。

そしてとうとう、インディアンたちが水の魔物 (water devil) と呼んでいる生物が現れたようです。

我々、白人入植者たちもこの目で見たことを宣言しましょう。

この魔物は、当地でベア・レイク・モンスターと呼ばれており、この怪物の出現により大きな興奮を沸き起こっています。

先日、サウス・エデン (地域の名前) のS.M.ジョンソン氏が馬に乗って湖畔を走っていると、数ヤード先に何かが浮かんでおり、彼は人間の死体がではないかと思ったようです。

彼は波が死体を湖岸に運ぶのを待っていたところ、驚いたことに、その死体だと思っていたものは波の力を借りずに動いたのです。

頭と首らしきものがあることから、それは見たこともない動物のようです。

頭部の両側にはパイントカップ大の耳、もしくは房のようなものが確認できました。

この大きさから、彼はこの怪物の体はおそらく湖底に接しているものと結論付けたのです。

しかしながら、もうその時には、ジョンソン氏は身の危険を感じ、その場を離れたため怪物の詳細はそれ以上観察できなかったといいます」

これこそ、1868年、リッチ氏がベア・レイク・モンスターについてデゼレット・ニュース紙 (Deseret News) に原稿を送り、掲載されたものです。

ちなみにデゼレット・ニュース紙は1850年に発刊されたユタ州でもっとも歴史のあるローカル新聞で、2022年より日刊から週間へと切り替わったものの、現在でも現役バリバリです。

そういうわけで、初めに火が付いたのはベア湖の半分を占有するユタ州側だったようです。

実際、ほとんどの目撃はユタ州ばかりです。

(かつて北米に存在したデイノスクス (Deinosuchus)、最大、体長12メートルに成長したのではないかといわれている史上最大のワニのひとつです)
(image credit by Wikicommons)

このデザレット・ニュース紙の掲載を機にベア・レイク・モンスターの伝説はスタートします。

そしてその怪物を一目見ようとベア湖には多くの人々が訪れることになり、怪物の目撃が爆発的に増加します。

多くの目撃情報からベア・レイク・モンスターの特徴は、体長は40~200フィート (約12~60メートル)、体色は茶色で胴回りは人間よりもすこし太い程度、大きな目をもちその両目の間隔は1フィート (約30センチ)も離れていました。

頭部は牙のないセイウチ、もしくはワニに似ており、記事通り、パイントカップ程の耳を持ちます。

四肢は体に対して貧弱で18インチ (約45センチ)、おそらく陸では体は支えられないと考えられますが、泳ぎは少なくとも時速60マイル (約97キロ) とかなり高速で泳ぐといわれています。

体長や頭部等の特徴のバラツキから考えて、異なる種類の野生動物を見てハイブリッド化しているのは確かといえます。

大きく2つのタイプに分かれており、ひとつが巨大なワニ的なもの、そしてもうひとつがヘビ体型、いわゆるレイク・サーペント的なものです。。

この怪物にはじめに興味を持ったのが、意外なことに、日本ではモルモン教として知られる末日聖徒イエス・キリスト教会 (以下LDS) であったといわれています。

LDSは、記事を投稿したジョセフ・C・リッチとその兄弟、そして多くの目撃者たちと接見し、これだけの証言を得られたのだからとベア・レイク・モンスターの実在をを確信します。

政治家にしてLDSの第二代大管長ブリガム・ヤング (Brigham Young) 氏は本格的なベア・レイク・モンスターの捕獲作戦を敢行したほどです。(もちろん失敗に終わっています)

先日、同じくユタ州にある、全米6番目に巨大な塩湖、グレート・ソルト湖 (Great Salt Lake) のUMA、ノース・ショア・モンスターの話をしましたが、ベア湖とグレート・ソルト湖は地下水路でつながっており、ベア・レイク・モンスターはそういった水路を使い行き来しているのでは?などと噂が流れたりもしました。

しかし、、、

1868年のリッチ氏の話から26年後の1894年、彼はあの原稿に書かれているすべてが壮大なホラ話であったことを認めました。

やはりこの告白の影響は大きかったようで、それ以後、目撃は激減、、、というよりはほとんど無くなってしまいました。

しかし目撃は全くなくなったわけではありません、細々と、、、人々の関心が薄れ、忘れそうになるとベア・レイク・モンスターは気紛れに人々の前に現れるようです。

(参照サイト)

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