日本ではわりと知名度の高いスベスベマンジュウガニ (Atergatis floridus)。
というか、日本でだけ知名度の高いカニと言ったほうが適切かもしれません。
甲羅の大きさは最大で幅5センチぐらいまで成長するようですが、概ね小さく、色も地味であまり目立ちません。
オウギガ二の仲間であることから分かるとおり、甲羅の形は丸みを帯びた扇形をしています。
少なくともこの見た目ではとても有名になるわけもないもないカニですが、かれらが有名なのはまず「毒」をもっていることでしょう、。
フグ毒で有名なテトロドトキシンをはじめ、貝毒のサキシトキシン等の複数の毒を持っています。
これで毎年のように誤食して死者や中毒者が出るものなら有名になってもおかしくないですが、そんなこともありません。
もうこれは完璧に「和名」と「特性」が剥離 (はくり) していることから来る知名度といって過言ではないでしょう。
スベスベマンジュウガニというファンタジーの国からやってきたような名前にして致死性の有毒生物なのですから。
ちなみに少なくとも日本ではスベスベマンジュウガニを食べて死亡した人はいません。
日本で毒ガニといえば同じオウギガニの仲間のウモレオウギガニやツブヒラアシオウギガニで、死者も出ているほどです。
スベスベマンジュウガニを頭にインプットするぐらいなら、むしろこれらのカニを覚えておいたほうがよっぽどマシですが、おそらく名前すら聞いたことがない人がほとんどでしょう。
海外でもスベスベマンジュウガニは分布しており、スベスベマンジュウガニの誤食で死者も出ているとの記載も見受けられますが、本当にスベスベマンジュウガニで死亡したのかオウギガニ科のカニで死亡したのか情報が少なすぎて判断できません。
とにかく間違って食べないように。
スベスベマンジュウガニ史上初の死者として、死んだ上に笑いものになる可能性があります。
(国立科学博物館にて)
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