(タスマニアン・グロブスターの新聞記事)
■謎の巨大肉塊 ~ グロブスター
グロブスタータイプのUMAは数多く紹介していますが、その都度グロブスターがなんであるかを軽く触れていたものの、原点となるグロブスターそのものに焦点を当てていなかったので少し詳しく触れて行こうかと思います。
グロブスター (Globster) は簡単に言うと海岸 (稀に川岸、湖岸) に打ち上げられる正体不明の巨大な肉塊です。
この "Globster" という単語自体は未確認動物学者アイヴァン・サンダーソン博士による造語で、「グロテスク (grotesque) + ブロブ (blob) + モンスター (monster)」という3つの単語をかけ合わせています。
ブロブとは「(ぶよぶよした) 塊」のことでグロブスターではなく、実際グロブスターではなく単にブロブと呼ばれる場合も多々見受けられます。
グロブスターを直訳すれば「奇妙なぶよぶよした肉塊状の怪物」といった感じでしょうか。
グロブスター自体に厳密な定義はありませんが、とにかく上記のように「正体不明の肉塊」であり不定形、そのほとんどは数メートルから10メートル以上、重さも数トンととてつもなく大きく、目・鼻・口どころか頭部と識別できる部分が無く、四肢 (鰭含む) や尾といった器官もありません。
骨が確認されることは極めて稀ですが、それでも骨がある場合もあります。
体色は白っぽいことが多く、例外はありますが白から薄い褐色であるものが大部分を締めます。
そういった器官が無いにもかかわらず、体表には毛が生えていることが多くみられるのも特徴です。
さてグロブスターの正体とは何か?
グロブスター自体が生きている姿で目撃されることはまずありませんが、日本のオカルト本では水中でグロブスターに遭遇した、グロブスターが追いかけられた、なんて記述も散見されます。
巨大な肉塊自体が追いかけてきたら恐怖そのものですよね。
まあ上記のような「生きているグロブスター」は海外の記事では読んだことが無く、仮に日本のオカルト本の創作でないにしても極めて稀なケースといえるでしょう。
毎年多くのグロブスターがニュースになっているにもかかわらず、生きている姿が目撃されない、ということは「生前は異なる姿である」可能性が高いと言えます。
一見すると頭足類、特に巨大なタコを彷彿させるものも少なくありません。
グロブスターは不定形ですが潰れた半球状をしていることが多く、またその周りには短く太い触手のように見えるものが付属している場合もあるからです。
(ナコドゥの怪物)
(触手があるように見えます)
実際、1896年11月30日にアメリカ、フロリダ州のセントオーガスティン東にあるアナスタシア島で発見されたブロブ、セントオーガスティン・モンスター (St. Augustine Monster) は巨大なタコの死骸と長らく考えられ (一部のUMA本では現在でも)、「巨大なタコ」を意味するオクトパス・ギガンテウス (Octopus giganteus) なる学名も与えられました (もちろん現在では無効)。
しかし実際のところグロブスターの組織を科学的に調査すると99%、それはクジラやサメ (主にウバザメ・ジンベエザメ ⇒ ほとんどウバザメ)、稀に巨大イカ (ダイオウイカ、ダイオウホウズキイカ等々) の腐敗した死骸や脂肪分であることが判明します。
全身 (全体?) が毛で覆われているように見えることもありますが、これも実際は毛ではなくクジラ (特にマッコウクジラ) の脂肪が毛羽立った状態で固まっているものであったりします。
(オクトパス・ギガンテウス)
(original image credit: Wikicommons)
グロブスターの起源は古く、 18~19世紀ごろには既に記録があり、ストロンゼー・モンスターは最初期のグロブスター系UMAです。
グロブスターという名で呼ばれるようになったのは上記の通りサンダーソン博士が命名して以降のことですが、その命名するきっかけとなったのは1960年8月にタスマニア西部のインタビュー・リバー (Interview River) に流れ着いたブロブです。(冒頭の新聞画像)
大きさは長さ20フィート (約6メートル)、幅18フィート (約5.4メートル) の楕円形、現在でもよく見られる一般的な形状で、タスマニアン・グロブスター (Tasmanian Globster) と呼ばれます。
発見から20年以上たった1981年、クジラの死骸であることが判明しました。
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