2023年3月30日木曜日

ヴァン湖の怪物 ~ ジャノ (ジャノアール)


■ヴァン湖の怪物 ~ ジャノ (ジャノアール)

さて今回は日本のUMA本でも大御所のヴァン湖の怪物 (Lake Van Monster / Van Gölü Canavarı)、ジャノです、UMAファンで知らない人はいないでしょう。

トルコ語からジャノアール (Canavarı) とも呼ばれますが、これは固有名詞ではなく単に怪物 (モンスター) の意です。

ヴァン湖 (Lake Van) はトルコ最大の湖で、驚くことに淡水ではなく塩湖 (塩水湖) です。

もともと実在するには敷居の高いUMAたちですが、その中でも塩湖のUMAはさらに敷居が高いですが見ていきましょう。

表面積は3755平方キロメートル (琵琶湖の約5.6倍)、平均水深171メートル、最大水深451メートル (琵琶湖104メートル) と大きいだけでなくとてつもなく深い湖でもあります。

この湖には古くから怪物が生息しているという民間伝承がありますが、なんと元になっているのはトルコではなく東の国境で隣り合う隣国アルメニアの神話です。

(この上なく美しいヴァン湖の夕暮れ)
(image credit by  Wikicommons)

もともとは神話らしくヴァン湖に生息しているのは「人を喰うドラゴン」のような存在でしたが、実際に目撃されるようになると生物らしくなっていきます。

巨大なレイク・モンスターとして語られ、日本のUMA本等で一般的にジャノの体長は15~20メートルぐらいといわれますが、海外サイトを見る限り大きさに関して具体的な数字を挙げられることは少ないようです。

やはりジャノもネッシー (Loch Ness monster) の影響を多大に受けているのでしょう、その姿は絶滅した海生爬虫類のプレシオサウルス (Plesiosaurus) やモササウルス (Mosasaurus)、それに加え絶滅した海生哺乳類としてゼウグロドン (Zeuglodon) ことバシロサウルス (Basilosaurus) 等に似ているもといわれています。

(バシロサウルス・ケトイデスBasilosaurus cetoides))

水棲UMAの正体として定番のものばかりですね。

クジラ (バシロサウルス) が候補に挙がっているのはその体型が似ている (細長い) ばかりでなく、潮を吹いている姿の目撃があったからと思われます。

但し、バシロサウルスは現生のクジラのように頭頂部ではなく目と鼻先 (吻) の中間ぐらいに噴気孔が位置しており、現生のクジラのように吹き上げられたかというと少々疑問です。

遅くとも19世紀末ごろから目撃情報はあるようですが、ジャノの目撃が増え始めたのは1980年代以降で、特に1997年、ヴァン大学 (Van University) の教育助手ウナル・コザック (Unal Kozak) 氏がジャノの動画撮影に成功、動画の公開により世界中からヴァン湖に注目が集まりました。

コザック氏の撮影したビデオは1分にも満たない短いものでしたが、水中 (ヴァン湖かどうか判断できない) から頭部付近 (と思われる一部) を水面から出したままゆっくりと泳ぐ生物の姿がはっきりと捉えられていました。(動画は本文最下部にあります)

水生生物にしてはあまり滑らかそうに見えないゴツゴツとし茶褐色の皮膚、窪みは目でしょうか、また頭部ほどはっきりはしていませんが、頭部後方の背中の一部も見えているようです。

コザック氏は全長は15メートルほどだったと証言しています。

その頭部から背中まで驚くほど直線的でまるで流木が浮いているように体全体の浮き沈みが連動しています。

「遊泳中のゾウ」なんじゃないか?という意見もありますが、さすがにそれはありそうもありません。

(遊泳中のゾウ)
(image credit by Wikicommons)

しかしこの動画でもっとも不自然と指摘されているのが「呼吸」です。

頭部前方からブクブクと泡が出ているのですが、これが絶え間なくずっと出続けているのです。

これが呼吸だとすれば大変不自然であり、それに加え生物としてのしなやかさの欠如、直線的な遊泳 (浮遊) 等、仕方ないことですがかなりフェイクを疑われている動画です。

とはいえ、コザック氏がフェイクを告白した事実はなく、あくまで「疑わしい」というだけです。

そして、そもそもとしてヴァン湖に巨大生物が生息することができるのか?という疑問を持つ人もいますが、その辺はどうでしょう?

というのも冒頭に紹介した通り、ヴァン湖は塩湖であり、しかも塩分濃度が濃いためめぼしい魚といえばコイ科のアルブルヌス・タリキ (Alburnus tarichi) ぐらいしか生息していないからです。

(image credit by Wikicommons)

どうでもいいことですが、UMA本でヴァン湖に生息するのはニシン科の魚との記載が散見されましたが、実際はどうもコイ科のようです。

アルブルヌス・タリキは塩水に適応しヴァン湖にしか生息していないトルコの、というかヴァン湖の固有種です。

ヴァン湖に生息する (確認できる) 魚類はこの一種のみというのはなんとも心許ないですが、アルブルヌス・タリキのみで漁業が成り立つほどのそれなりの漁獲量があり、まあエサとなるものもギリ存在すると考えていいでしょう。

まとめると、コザック氏の動画は怪しい、けど真偽は不明、塩湖でエサとなる魚は乏しいものの全くないというわけではなくそれなりにある、10メートルを超すような巨大生物は無理にしろ、2メートル程度のなんらかの巨大生物ぐらいなら生存できるかも?

こんな感じでしょうかw

(ケープコッドで撮影されたシーサーペントを想起させる魚影)
(image credit by The Charlette observer)


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