足の多い生物、ムカデやヤスデの不人気ぶりは気の毒になるほどです。
既にもう名前を聞いただけでからだがゾワゾワしている人もいるかもしれません。
まあ自分も特に好きではないですけどねw
ムカデもヤスデも名前が違うだけでおんなじやん!
そう思う人もいるかもしれませんが見た目の顕著な違いは体節ひとつにつきムカデは1対、ヤスデは2対足を持つことで、単純に同じ長さで体節数も同じであればヤスデのほうが2倍足が多いということになります。
英語でムカデはセンチピード (centipede)、ヤスデはミリピード (millipede)、ラテン語で「センチ (centi)」は100、「ミリ (Milli)」は1000を意味する接頭語ですから、単純に訳すとそれぞれ「百の足」「千の足」となりヤスデの足の多さここでもがわかると思います。
また例外もありますが、ヤスデは真横から見ると背中がぷっくり丸く盛り上がっており (つまり切断面が円形)、それに動作もモゾモゾして遅い傾向があります。
(アフリカオオヤスデ)
(original image credit by Wikicommons)
現生最大のヤスデはアフリカオオヤスデ (Archispirostreptus gigas) の33.5センチメートル、次いで正式な和名はよくわかりませんがチョコレートミリピード (Ophistreptus guineensis) の25センチメートル。
さて今日はそんな人気者、ヤスデ史上、というよりも節足動物史上、最大級の大きさを誇るアースロプレウラ (Arthropleura) です。
あまり耳にすることはありませんが、和名はコダイオオヤスデです、そのまんまですね。
アースロプレウラが生息していたのは恐竜が現れるはるかはるか昔の石炭紀~ペルム紀の約3億4500万年~2億9000万年前です。
体長は驚愕の2メートル超、最大種のアースロプレウラ・アルマータ (Arthropleura armata) に至っては2.5メートルと見積もられ、体幅は40~45センチ、と知らない人が聞いたら「UMAではなく現存した生物です」と言ってもにわかにその存在は信じられないかもしれません。
体重も50キロ超と見積もられ、足跡化石も発見されていますがその体重から地中に刻まれた足跡は深さ3センチにも及びます。
体型的にはムカデのように上下に扁平で大きさこそ違えど現生のヒラタヤスデ (Platydesmida) に良く似たシルエットをしていたと考えられます。
(ヒラタヤスデの仲間)
節足動物ということは成長する (大きくなる) には脱皮する以外に方法はありません、当然、この巨体にして脱皮を行うことになります。
実はアースロプレウラの良好な化石はすべて抜け殻、つまり脱皮化石ではと推測されています。
これだけの大きさをしていたのだから向かうところ敵なし、獰猛に同時代の生物を襲っていたのか?と期待が膨らむかもしれません。
肉食のムカデと異なりもともとヤスデは落ち葉や腐葉土のような腐植食性で、襲われたとしても丸くなって身を守ったり刺激臭の分泌物を放つ等、動物を襲う性質はありません。
頭部が発見されておらず食性も分かっていませんがそれでも植物食であったと現時点では考えられています。
それ故、アースロプレウラはその大きさから成体になれば襲われるようなことはかなり少なかったと推測されますが、それでもその食性から自発的に他の生物を襲うようなことはなかったことでしょう。
(タマヤスデの一種 (Sphaerotheriida)、ダンゴムシのように丸くなれることからタマヤスデの仲間は英語圏では「丸薬ヤスデ (Pill millipede)」と呼ばれ日本では「メガボール」の名で流通しています)
(image credit by Wikicommons)
これほど怪物然として魅力的な生物でありながら意外にもアースロプレウラがUMAとして登場したり、UMAの正体であったりということはほとんど聞きません。
というわけで最後にヤスデのUMAの話をしましょう。
アランと名乗る男性がアメリカ、2018年ミネソタ州の真夏のハイウェイを車で疾走していたところ巨大な茶色のヤスデを目撃したと主張しています。
「自分が実際に見たものすら疑うほどの懐疑論者と自認する」アラン氏が掛け値なしで大きかったと証言しています。
体長は4フィート (約1.2メートル)、アースロプレウラには遠く及ばないにしろ、現世のヤスデ (ムカデも含めて) と比べたら桁違いの大きさ、しかも直径は3インチ半 (約9センチ) もある円筒形。
平べったいアースロプレウラとは異なりますが、典型的なヤスデのシルエットです。
残念なことに足は見えなかったといいますが、ネズミが全速力で駆けるぐらいのスピードで移動していたと証言しています。
ダクト (のようなもの) 等建築資材がが転がっていただけでは?
アラン氏は絶対に違うと主張しています。
なぜならその「巨大ヤスデ」は横に転がったりすることはせず、前進し続けていたからです。
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