いつものように海外ニュースを見ていると、太平洋で撮影されたという海中ビデオがツイッターで話題になっていました。(動画はこちらで)
「太平洋を泳ぐ鳥のような羽毛をもつ奇妙な魚が撮影された!この奇妙極まりない真っ黒な海洋生物のバイラル・ビデオ (ネットで話題になっている動画のこと) はマジ恐ろしい!」
てなタイトルで煽ってますが、実際あっという間に再生数が500万ヒット!煽るだけのことはありますね。
動画をよーく見てみましょう。
上部はまさに鳥の羽毛を思わせる形状です。
下部ははっきりしませんが、なんか棘状になっているように見えます。
よどみなく、そして美しく「羽根」を羽ばたかせ海中を優雅に泳ぎ回っています。
鳥の羽根と比べると随分と柔軟性があるように見えます。
鳥の羽毛は羽軸 (うじく) と呼ばれる植物の茎のような軸から左右に無数の羽弁 (うべん) が伸びて形成されていますが、鳥の羽軸はこのビデオのようにグニャグニャなるほど柔軟性はありません。
確かにこんな「魚」見たことがないですね。
ミノカサゴとかカサゴの新種でしょうか?
てか本当に魚ですかね?
以前にも書きましたが、フィッシュ (fish) を日本語に訳すと「魚」になりますが、英語圏で「〇〇fish」と呼ばれる生物は必ずしも魚類ばかりではありません。
ヒトデのことをスターフィッシュ (starfish)、クラゲをジェリーフィッシュ (jellyfish)、コウイカをカトルフィッシュ (cuttlefish) と魚類でもなんでもない生物でも水中に生息する生物はフィッシュと呼ばれる場合があります。
更にいえば特に食用の貝はシェルフィッシュ (shellfish) ザリガニはクレイフィッシュ (crayfish) と呼ばれるぐらいです。
魚類でないものにフィッシュとつく理由は生物の分類学が明確でなかった頃の名残とかなんとか、とにかくよくわかりませんが「フィッシュ = 魚類」ではない場合も散見されるということです。
んで、この動画の生物、「魚」という割に本体 (体) がはっきり確認できず、やはり魚と呼ぶには苦しい気がします。
そういうわけで、上記のような理由から魚類とは判別つかないけど、取り敢えず海中 (水中) を泳ぐ生物だから「フィッシュ」と軽い気持ちで呼んでいるだけのような気がします。
実際、体はもちろんのこと頭部も尾もなにも確認できません。
んで、これはいったいなにか?
もしかしてあの伝説のUMA、、、ってかこんなUMA、噂すら聞いたことがありません。
これは種類は分かりませんがウミユリの仲間 (Crinoidea) ですね。
知っている人が見たらきっと瞬殺だったでしょう。
ウミユリはそのまま「海の百合」の意で見た目こそ植物的ではありますが、ウニやヒトデと同じ棘皮動物の仲間です。
ウミユリの中でも岩などにへばりついて固着しない種は英語圏ではフェザー・スター (feather star) と呼ばれるので、これはフェザー・スターの遊泳シーンですね。(ちなみにウミユリは英語でも海の百合「sea lily」です)
しかし優雅な動きですよね。
(フェザー・スターの遊泳シーン)
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