■体長25メートルのギョリュウが発見される ~ イクチオティタン・セベルネンシス
時事ネタも軽く触れましょう、そのうちUMAの正体になる可能性もありますので。
とてつもなく巨大な魚類の化石が発見されました。
発見されたのはイングランドのサマセット (Bristol) かブリストル (Bristol) かはっきりしませんが、取り敢えずイングランドの港湾地域です。
もともとこの骨が発掘されたのは8年ほど前の2016年、謎の骨として少しの間ほったらかされた後、ブリストル大学の古生物学者ディーン・ロマックス (Dean Lomax) 博士のチームにより史上最大級の魚竜として認識されました。
発見当初はあまりの大きさから恐竜の化石と認識されていたともいいます。
魚竜と聞いて最も有名なのはおそらくイクチオサウルス (Ichthyosaurus) で、これは「魚のようなトカゲ」(ichthys:魚, saurus:トカゲ) を意味します。
イクチオサウルスは魚でもなければ恐竜でもなく海棲の爬虫類で姿こそ違えどUMAの正体として馴染み深いプレシオサウルス (Plesiosaurus) やエラスモサウルス (Elasmosaurus) 等の首長竜ら近縁です。
首長竜は海生爬虫類ながら恐竜然とした姿をしていることから恐竜ほどではないにしろ一定の人気があるのに対し魚竜はいまいちぱっとしない感は否めません。
大抵の魚竜はもろにイルカそっくりに収斂進化 (しゅうれんしんか) している上、体長も3~4メートルとそれほど大きくないからでしょう。
シーラカンスのように奇跡でイクチオサウルスが現在まで生き残っていたとして、目撃者が「イルカに似た奇妙な生物を見た」と証言しても、それは「イルカとかカジキを見ただけだろ」と一蹴されるに違いりません。
そんなこともあってUMAの正体として魚竜が候補に挙がることはまずありません。
さて今回発見された巨大な魚竜はイクチオタイタン・セベルネンシス (Ichthyotitan severnensis) と命名されました。
属名にタイタン (titan, 「巨人」の意) が入っている時点で分かる通り、「巨大な魚」の意を持つ魚竜です。
棲息していたのは今から2億100万年以上前の三畳紀です。
発見された化石は非常に断片的で顎の一部分のみ、しかしその不完全な顎の部分だけで1.8メートルもありました。
全長はいくらになるか?
まずは既知集の巨大魚類を見ていきましょう。
魚竜の最大種といえばショニサウルス (Shonisaurus) やシャスタサウルス (Shastasaurus) ですが、現在どちらに分類されるか浮いた状態になっているショニサウルス・シカネンシス (Shonisaurus sikanniensis) もしくはシャスタサウルス・シカネンシス (Shastasaurus sikanniensis) は全長が21メートル以上になったと推測されています。
今回発見された顎化石がこのシカネンシスと同じプロポーションであると仮定するとイクチオタイタン・セベルネンシスは全長25メートルに達するといいます。
ちなみに今回の論文を発表した古生物学者ディーン・ロマック等のチームは断片的なイクチオタイタンの全長に関する質問については慎重さを維持し言及を避けており、あくまで部外者によるセンセーショナルな記事が大好きなマスコミ向け体長です。
史上最大の硬骨魚類として知られるリードシクティス (Leedsichthys) も当初の全長28メートルの推定値から全長17メートルほどまで縮んでおり、イクチオタイタンの推定値も縮んでいく可能性はあります。
が、それを考慮しても史上最大級の魚類であったことは間違いないでしょう。
(参照サイト)
National Geographic
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刺し身にすれば何人分になるのでしょうね
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