■元は半猫半魚の怪物!? ~ スペリオル湖の怪物 (プレッシー)
今回はスペリオル湖の怪物 (Lake Superior monster) ことプレッシー (Pressie)。
モンタナ州、フラットヘッド湖のモンタナ・ネッシーとも呼ばれるフレッシーと名前が似ていますが、完全に別物です、一応。
さて、スペリオル湖は五大湖最大にして淡水湖として世界最大の表面積を誇る湖です。
多くの北米の湖でレイク・モンスターが報告されていますが、世界最大の淡水湖にしてはUMAファンにはあまり馴染みのない湖です。
まぁネッシーの存在でネス湖は別格ではありますが、ネス湖の表面積は実は56平方キロメートルしかなく琵琶湖の670平方キロメートルをはるかに下回ります。
それどころか日本の湖の表面積ランキングでも15位と冴えない大きさなのです。
ただネス湖は形状が極端に細長いのが特徴で表面積の割に最大長は長く36キロもあります。
琵琶湖は63キロなので全く及びませんが、表面積が琵琶湖の1/12と考えると如何にネス湖が細長い湖であるか実感できるでしょう。
またネス湖は平均水深が132メートルもあり、琵琶湖の41メートルをはるか凌駕します。
なので表面積こそ琵琶湖の1/12ですが貯水量は1/3.6ほどと大分差が縮まります。
と、関係ない琵琶湖とネス湖の話になってしまいました。
まぁ、UMAファン的に湖の知名度はその大きさとはあまり関係ないということを言いたかっただけです。
日本でいえば琵琶湖の水棲獣ビッシーの知名度もイマイチですしね。
(バシロサウルス・ケトイデス(Basilosaurus cetoides))
(image credit: Wikicommons/Dominik Hammelsbruch)
で、スペリオル湖のプレッシーもこれまたマイナーです。
世界最大の淡水湖だから一応UMAもいます、程度の扱いです。
まず名前が気になる人がいるでしょう?
スペリオル湖の怪物がなぜプレッシーになってしまったのか?
これはスペリオル湖に流れ込むプレスク・アイル川 (Presque Isle River) 周辺で目撃が多発したことに由来するといわれます (プレスク ⇒ プレッシー)。
プレッシーという名はネッシー風の名前で分かる通り、ネッシーブーム以降にスペリオル湖の怪物に付けられたニックネームですが、もともとスペリオル湖周辺の先住民族に伝わる水棲獣、ミチペシュ (Michipeshu) に起源があるともいわれます。
ミチペシュは人魚ならぬ猫魚といえる民間伝承上の水棲獣で、上半身が猫 (オオヤマネコ)、下半身が魚で、哺乳類でも魚類でもなく両生類だといいます。
先住民族にとってミチペシュは水の精霊であり、その存在は18世紀まで遡ります。
上記のミチペシュの姿からも想像できる通り、初期のプレッシー (プレッシーとまだ呼ばれていない頃) はとても小柄な生物でした。
ネコ科動物の上半身を持つことから、スペリオル湖周辺の河川に生息するアメリカビーバー (Castor canadensis) であったりカナダカワウソ (Lontra canadensis) の誤認も含まれていたかもしれません。
「両生類」という点に重きを置けば、初期のプレッシーの目撃が18世紀ということを考えると、ヘルベンダー (アメリカオオサンショウウオ, Cryptobranchus alleganiensis) を候補に挙げたいところです。
現在はスペリオル湖近郊では絶滅してしまいましたが、18世紀ぐらいであればまだヒガシアメリカオオサンショウウオことイースタンヘルベンダー (Cryptobranchus alleganiensis alleganiensis) は棲息していたかもしれません。
欠点としてはどうあがいてもヘルベンダーが哺乳類の頭部には見えない点ですが。
(ミズウミチョウザメ)
(image credit: Wikicommons)
では現代のプレッシー像を見ていきましょう。
起源的にはミチペシュの半猫半魚とはいうものの、現在ではほぼその原型はなく、いわゆる細長い体型の水棲獣、つまりレイク・サーペント系UMAとして知られています。
理想としては未知の巨大ウナギですが、現実的なところでは月並みですがミズウミチョウザメ (Acipenser fulvescens) が第一候補でしょう。
ミズウミチョウザメはチョウザメの仲間ではあまり大柄になりませんが、それでも最大個体で全長2.2メートル、108キロの記録があります。
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