■サメと人間のハイブリッド、サメ男 ~ ナナウエ
今回はナナウエ (Nanaue)、ハワイに伝わる民間伝承上の生物です。
ま、純粋なUMAといった感じではないですけどね。
DCコミックの悪役としていくつもの策人に登場するるサメのヒューマノイド、キング・シャークはナナウエとも呼ばれ、この民間伝承上の生物が元になっています。
人魚を除けば魚類と人間のハイブリッドは極めて珍しくナナウエは奇異な存在です。
ナナウエを見ていきましょう。
ナナウエはカモホアリイ (Kāmohoaliʻi) とカレイ (Kalei) の間にできた子供で、背中にサメの口を持つ怪物です。
なぜか?
それはカモホアリイとカレイの出会いから始めなければいけないでしょう。
カモホアリイはサメの神であり、シェイプシフター (自在に自身の姿を変えることが出来る能力者) です。
ある夜のこと、ハワイ島のワイピオ渓谷に住む美しい女性、カレイが水浴びをする姿にカモホアリイは一目惚れし、酋長に姿を変え人間世界に入り込み、見事カレイと結婚することに成功したのです。
やがてカレイがカモホアリイの子を身籠ると、自分はサメの神として海に戻らなければならないことを悟ります。
カモホアリイはカレイに自分の正体を明かすことはありませんでしたが、カレイのもとを去る前に、彼女に必ず守って欲しい約束を提示しました。
お腹の子は誰にも見られない場所で独りで産むこと、そして産まれた子にいかなる動物の肉も食べさせてはいけないこと。
カモホアリイが去って幾日か過ぎたある夜のこと、カレイはカモホアリイとの約束を守り独りで男の子を産みました、これがナナウエです。
母親のカレイのように美しい顔立ちの男の子でしたが、ナナウエはふつうの子供でありませんでした。
生まれながらに背中に巨大なサメの口を持っていたからです。
カレイは恐怖し、そして悲しみにくれたものの厚い毛布でくるみ背中の口を誰にも見られないように育てました。
そしてカモホアリイとのもうひとつの約束、ナナウエに決して肉を食べさせないようし、また食べてはいけないと教えました。
しかし物心がつくと子供の好奇心は母親との約束を破るのに十分な力を持っていました。
7歳になったナナウエは自らの好奇心に抗うことが出来ず、ついに肉を食べてしまったのです。
肉の味を知ったナナウエは川へ行くとサメの姿になり魚たちを追いかけ食べるようになりました。
そして肉の味を知ったナナウエは人間を食べるようになります。
彼は海でサメの姿に戻ると人間を襲い、そしてカネアナ洞窟へ運び腐らせて食べることを知りました。
海で行く行方不明者が続出するにも関わらず、ナナウエだけが無事なことに周りは不信を抱き始めていたものの、まさかナナウエ自身がサメだとは誰も気付きませんでした。
しかしナナウエが成人し農場で働くようになったある日のこと、同僚がナナウエの服を破ると、ナナウエの背中にサメの口があることがついに発覚します。
海で人がサメに襲われる事故が多発し、にもかかわらずナナウエだけが襲われない理由が分かりました。
ナナウエの抵抗虚しく人々に押さえつけられ火あぶりの刑に処せられることが決まりました。
しかしナナウエは間一髪で逃げうせ、海へ飛び込むとサメとなってマウイ島へと逃げました。
マウイ島へ渡ったナナウエはまた人間の姿に戻り酋長の娘と結婚、人食いをやめることを決意しました。
しかし本能を抑えつけることはできませんでした。
ある夜のこと、若い娘を誘拐すると海へと吊り去り、島民の見ている前でナナウエは娘を食べました。
ナナウエには多くの槍や銛が飛んできましたがうまく逃げおおせました。
ナナウエが次に選んだ島はモロカイ島です。
ある日のこと、誰にも見られていないと思ったナナウエは海でサメの姿に戻りますが、それを島民は見ていました。
既に「サメに変身する男」の噂が広まっており、島民たちは目を光らせていたのです。
ナナウエは網で捕らえられると村人たちに殴り殺され、切り刻んで焼かれ灰にされたといいます。
(参照サイト)
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