■古代メソポタミアには恐竜が生き残っていたのか? ~ ムシュフシュ
今回はムシュフシュ (Mušḫuššu)。
本来はUMAではなく、古代メソポタミアの神話に登場する、伝承上の幻獣です。
現在から最低でも5000年前にはムシュフシュの存在は知られていたと考えられます。
ムシュフシュはシュメール語で「恐怖のヘビ (または「獰猛なヘビ」)」を意味するといわれますが、その言語ルーツにより解釈は分かれており「赤いヘビ」「光り輝くヘビ」等に訳される場合もあります。
いずれにしても「ヘビ」であることに間違いはないようです。
しかし多くの古代の幻獣 (UMAにも多いですけどね) たちが実在する複数の動物の混合体、つまりキメラであるようにに、このムシュフシュもまた単なる「ヘビ」ではなく、むしろヘビの特徴を併せ持つ典型的なキメラ生物です。
一般的なムシュフシュの姿は、「恐怖の蛇」の名に違 (たが) わず、長い首とその先端についている比較的小さな頭部は「ヘビ」そのもので、口内には爬虫類特有の二叉に分かれた長い舌を持つといわれます。
しかし純粋にヘビ的な要素はここぐらいまで。
頭部には角を (しかもヒツジ的なもの)、また鳥のように頭頂部に冠羽 (かんう) を有します。
体全体は鱗に覆われており、それだけを聞くと爬虫類的であるものの、現生の爬虫類がみな腹這いで体が地面につくほど低い姿勢であるのに対し、ムシュフシュは四肢が長く哺乳類的なシルエット、しかも前肢は「ライオン」、後肢は「ワシ」、尾は長く「サソリ」のそれに似ており、まさにキメラです。
キメラ系の幻獣はその表現を聞く限りどう考えても実在しそうにありません。
しかし例えばシフゾウ (Elaphurus davidianus) やオカピ (Okapia johnstoni) 等も、彼らの身体的特徴を表現するにあたり、より見慣れた複数動物の混合体のように表現される場合があります。
シフゾウであれば頭部が「ラクダ」、角が「シカ」、蹄が「ウシ」、尾が「ロバ」といった感じですが、実際に見るとそこまで珍しい姿をしているわけでもありません。
というわけで、キメラ的に表現されているからといって (混合体の限度にもよりますが) 必ずしも実在は不可、というわけではないとも都合よく考えられます。
しかも紀元前から知られ、超絶長い歴を持つムシュフシュの姿は時代により千差万別。
特に注目したいのは1902年に発見されたイシュタル門に描かれたムシュフシュです。
(イシュタル門に描かれたムシュフシュ)
(image credit: Wikicommons)
女神イシュタルの他に実在する動物、ライオンやオーロックスと共にムシュフシュの姿が描かれており、しかもその姿は伝承ほどキメラ的ではなく、実在する (した) 生物なのではないか?と検討する未確認動物学者もいます。
そう、これにてムシュフシュのUMA化への転機となりました。
「実在する動物と共に描かれている = ムシュフシュも実在する動物」
(現在は絶滅したかもしれませんが) その時代には実在していた動物なのではないか? (ただまぁ女神イシュタルも同時に描かれているので、、、)
実際、イシュタル門に描かれたムシュフシュのシルエットは「爬虫類的な頭部を持つ哺乳類」といった感じで、古代メソポタミアの伝承ほど突飛な姿をしていません。
(イグアノドン)
(image credit: Wikicommons)
これをよりUMAファン的に解釈していくと、「爬虫類的な頭部を持つ哺乳類」かつ伝承通り体全体が「鱗で覆われている」ことをプラスすることにより爬虫類、そして体高があることから「恐竜」に近づけることができます。
そう、ムシュフシュの正体、もしくは元になった生物は恐竜に違いない、これこそUMAファン的解釈。
僅か数千年前まで恐竜が?そうであれば現在でも十分生き残っている可能性があります。
で、恐竜の中で何に似ているのか?ということに対し、イグアノドン (Iguanodon) が候補に挙がっていますが、少なくとも現在の復元ではあまり似ていないような気が、、、
しっかしイグアノドン似といわれるUMAって結構多いですよね。
(関連記事)
0 件のコメント:
コメントを投稿