■超巨大カンガルー目撃事件 ~ ダスキー・サウンド・カンガルー (ダスキー・サウンド・ビースト)
巨大カンガルーといえば、日本のUMAファンなら真っ先に西オーストラリア州のパースで起きたデビッド・マッギンリー氏のジャイアント・カンガルー遭遇事件を思い浮かべるでしょう。
しかしこの事件は舞台がオーストラリアであるにも関わらず、海外では、というかオーストラリアですら知られておらず、基本的に日本限定で有名です。
今回は海外で知られている巨大カンガルー遭遇事件を紹介しましょう、ダスキー・サウンド・カンガルー (Dusky Sound Kangaroo) です。
ダスキー・サウンドとはニュージーランド南東のフィヨルドの名称です。
1831年、この地で巨大なカンガルーに似た生物が目撃されました。
ダスキー・サウンドに駐留中の船員たちが小舟で入り江を渡っている途中、崖の上の藪に見たこともない生物がいるのに気付きました。
その奇妙な生物はカンガルーに似ていましたがとてつもない大きさをしていました。
後肢二本で立ち上がって木の枝に生えている葉を食べているように見えましたが、身長は9メートル近くもあったというのです。
船乗りたちは興味津々にその生物を観察していましたが、あまりに近寄り過ぎたため、その「怪物」に気付かれてしまいました。
すると意外なことに怪物は藪の中に消え去るどころか逆に水辺に向かって跳躍し、そのまま水中に飛び込むと軌跡を遺して泳ぎ去ってしまいました。
その跳躍はひと跳びで6メートルもあったといいます。
さあこのUMAはいったい?
まず、地理的にも比較的近く、同じオセアニアといえど、ニュージーランドに (固有の) 有袋類は棲息していません。
野生下で繁殖しているのはたぶん移入種のフクロギツネ (Trichosurus vulpecula) 程度なはずです。
なわけで、ニュージーランドに巨大カンガルーどころかふつうのカンガルーすら棲息していた過去はありません。
そもそも絶滅種を含めても、ニュージーランドの巨大生物はジャイアント・モア (Dinornis maximus) やハースト・イーグル (Hieraaetus moorei) ぐらいしかめぼしいものは存在しません。
但し、最大身長4メートルにも達したといわれるモアは、もしかすると19世紀まで細々と生き残っていた可能性もあるので (UMA的には現在でも)、ジャイアント・モアを巨大カンガルーと誤認した可能性はあるかもしれません。
まあ9メートルはどう転んでも無理ですが。
で、生息地的に無茶を承知で巨大カンガルー説を推すというのであれば、絶滅種のプロコプトドン (Procoptodon) やステヌルス (Sthenurus)、あとはパロルケステス (Palorchestes) も加えておきましょうか。
それぞれの最大種、プロコプトドン・ゴリア (Procoptodon goliah) は最大2メートル超、ステヌルス・スティルリンギ (Sthenurus stirlingi) は最大2.5~3.0メートル、パロルケステス・アザエル (アザール) (Palorchestes azael) は最大2.5メートルもありました。
いずれも現在のカンガルーとはシルエットがあまり似ておらず、パロルケステスに至ってはかつて南北アメリカで繁栄していた地上棲の巨大ナマケモノのような見た目・生態です。
しかしこの中から選ぶとしたら、敢えてパロルケステス・アザールを推してみましょうか。
鈍重そうで船員たちが見たようなカンガルー・ジャンプはとてもできそうにもありませんが、二足立ちして高い木の枝の歯を食べている姿なんかパロルケステスが一番しっくりきそうですからね。
ただまぁニュージーランドに有袋類、しかも大きさはモンスター級、、、ネタのソースもほとんど見つからず、情報は極めて閉鎖的、、、デビッド・マッギンリー氏のジャイアント・カンガルー遭遇事件と傾向がちょっとばかり似ています。
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