(魚に見えない魚、クリスタリクティス・シクロスピルス)
(image credit by Sarah Friedman)
■これが魚?でろんでろんのゼリーに見える半透明の深海魚 ~ スネイルフィッシュ
「どうせサルパでしょ?」
海岸に打ち上げられた謎の透明ゼリー状の生物といえばたいていはクラゲであるか、もしくはサルパと相場は決まっていますが、今回のは違います。
正真正銘の魚類です。
ゼリー状であったり半透明であったりする生物は、人間のような哺乳類からしてみると随分と不思議な生物に感じてしまうため、たびたびニュースになりますが、何度見てもやはり不思議なものです。
さて、まずはシー・スラッグ (Sea slug)。
直訳すれば「海のナメクジ」、つまりウミウシの仲間の総称です。
同じくシー・スネイル (Sea snail) を直訳すれば「海のカタツムリ」。
これだけで想像はつくと思いますが、海生の巻貝の総称です。
しかし、意外や意外、魚の仲間にもシー・スネイルと呼ばれるものがいます。
一般的にはスネイルフィッシュ (Snailfish)、直訳すれば「カタツムリ魚」と呼ばれる、深海に生息するクサウオ科 (Liparidae) に属する魚の仲間で、今回のメインです。
(透明の巨大エビ風深海生物 詳しくは下リンクを)
クサウオ科の魚はゼリー状であり、珍しい姿をした魚が多いのですが、このほど、アメリカ海洋大気庁、通称NOAA (National Oceanic and Atmospheric Administration) のメンバーのひとり、魚類生物学者のサラ・フリードマン (Sarah Friedman) さんはアラスカの830メートル以上の深海に生息するスネイルフィッシュの写真を公開しました。
大きさ的には15センチ程度でしょうか。
学名はクリスタリクティス・シクロスピルス (Crystallichthys Cyclospilus)。
ラテン語の意味はさっぱりわかりませんが、クリスタルっぽい感じがでているので、そんな感じの学名なんでしょうか。(笑)
かろうじて魚のシルエットを保っているものの、半透明であり目や口、ヒレ等の判別が非常に困難であるため、どうせサルパでしょ?と思ってしまうようないで立ちですが、正真正銘の硬骨魚類です。
半透明の体から目や内臓がなんとか確認できるといった感じで、シルエットも深海魚に多い、巨大なオタマジャクシ体型です。
ゼリー状かつ半透明なため、それほど明確ではないですが、まるで南国の魚、もしくは毒魚のような斑点模様が体中にちりばめられている点もサルパとは決定的に異なります。
フリードマン博士によれば、見た目通りこの魚の感触はゼリー状のぐにゃぐにゃ、これは深海において、中性浮力 (浮くことも沈むこともない浮力) を維持し、深海の圧力に耐えうる適応の賜物だろうと推測しています。
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