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2024年4月19日金曜日

トビウオのように海上を滑空する甲殻類 ~ フライング・ロブスター


■トビウオのように海上を滑空する甲殻類 ~ フライングロブスター

フィリピン南西部に位置するパラワン島 (Palawan Island)。

手つかずの自然が多く残されており、同島の国立公園は世界遺産にも登録されています。

1912年12月、アメリカの動物学者で、フィリピン内務自治大臣であったディーン・コナント・ウースター (Dean Conant Worcester) 氏はパラワン島に訪れた際、今まで知られていない海洋生物に遭遇しました。

ウースター氏が目撃したのは大柄なザリガニやエビによく似た甲殻類でしたが非常に奇妙な習性をしていました。

翌年も3度目撃し、この不思議な生物との観察記録をまとめ1914年にフィリピン科学ジャーナル紙に発表しました。

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1912年12月のこと、パラワン島バキット湾の石灰岩の崖のふもとで釣りをしていたときのことです、それまで一度も見たことのない、奇妙な形をしたトビウオを目撃しました。

その半透明の生物は、水面すれすれの角度で飛び出すと、10~15メートル程飛んで着水しました。

しかしそのあと考えれば考えるほど、あの生物が魚であるはずがないと思えてきました。

なぜなら見た目からザリガニかエビのような印象を受けたからで、1対~2対のかなりフラットな脚が前方を向き、他の脚は後方に曲がり、脚と尾で飛行を助けていました。

1913年8月15日の夕方、パラワン島の海岸近くのイースト島から南東方向に延びる浅瀬の端をトローリングしていたとき、私は再び同じ種類の生物を目撃しましたが、今回は魚とは見誤りませんでした。

船の近くまで上昇し、急速に空中に浮上すると、短い距離を水平に保ち、再び水中に没しました。

それは体長15~20センチメートルの非常に透き通った生物で間違いなく甲殻類でした。

8月17日の朝、ルンブシアン島北側の浅瀬でトローリングをしていたとき、3体目の標本を目撃、その後マランパヤ湾で4体目の標本を目撃しました。

科学局の ウィリー・シュルツ (Willie Schulz) 氏もこの場所で目撃しており、フィリピンに体長15 ~25センチメートルの海棲甲殻類が存在することに疑いの余地はありません。

トビウオのスタイルに倣って、10~15メートルほど滑空できます。

わたしが観察したすべての標本は常に風に向かって飛んでいました。

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どうでしょう?

ウースター氏はこの生物をフライング・クラステイシャン (Flying crustacean)、つまり「空飛ぶ甲殻類」と単純に呼びました。

エビとザリガニではハサミののイメージがかなり異なりますが、ウースター氏はハサミについて一切触れていないことからそれほど目立つ大きさではなかった可能性があります。

重いハサミは飛行の妨げにもなりそうですしね。


ただ15~25センチもあるザリガニのような生物、海ですからつまりはロブスターですね、これがトビウオのように水中から飛び出して滑空しているなんて夢を見ているような光景です。

個人的にはエビタイプ「フライング・シュリンプ」よりもザリガニタイプ、「フライング・ロブスター」を推したいとことです。

いずれにしてもその姿自体はUMA特有の化け物じみたものでなかったことは確かでしょう。

では肝心の飛行する特殊能力についてはどうでしょうか。

トビウオは最低でも100メートル、大型種になれば300~400メートルともいわれます。

同様にトビイカも最大50メートルほど、100メートル飛べるなんて説もあります。

ウースター氏の目撃したフライング・クラステイシャンの10~15メートルという飛行距離は現実的な飛行距離に感じます。

確かに飛行を得意とするトビウオらと比較するとかなり見劣りしますが、遊泳速度があまり高そうではないエビやザリガニが10~15メートルも海上を「飛ぶ」なんて芸当ができるのでしょうか。

とはいえ、動物学者であるウースター氏と、昆虫学者のシュルツ氏の生物学者2人が目撃しているのです、ウソなわけはない、、、

といいたいところですがその後100年以上、全く目撃が途絶えており、昆虫学者シュルツ氏も一緒に目撃したというのはあくまでウースター氏の主張であり、どうもこの生物はウースター氏の捏造だったのではないかと疑われています。

しかし冒頭で述べた通り、パラワン島は手つかずの自然が多く残された島であり、もしかすると?という淡い期待を抱くぐらい許されるでしょう。

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