■死者が出るほどの大パニック ~ ニューデリーのモンキー・マン(Monkey-Man)
今回はモンキーマン(Monkey-Man)。
比較的新しいUMAで、正確には「ニューデリーのモンキーマン(Monkey-Man of New Delhi)」と呼ばれます。
インドの首都ニューデリー近郊で、2001年5月ごろから突如として目撃が相次ぎ、都市全体を巻き込む騒動へと発展しました。
― 小柄な獣人という異質な存在 ―
モンキーマンは獣人系UMAに分類されますが、その体格は非常に小柄で、身長は約1〜1.2メートル程度とされています。
UMAとしてはもちろん、獣人として見ても異例の小ささです。
しかし、その小さな体躯に反して、目撃者の数は桁違いでした。
数百、あるいは数千人単位で目撃証言が報告され、負傷者も50人以上にのぼるといわれています。
― パニックが生んだ「死者」 ―
この事件の特異性は、「死者が出た」という点にあります。
しかもそれは単なる噂ではなく、実際に記録として残っているものです。
ただし、モンキーマンによる直接的な襲撃で命を落としたわけではありません。
当時の住民たちは、出没の噂を聞くだけで強い恐怖に駆られ、半ば集団ヒステリー状態に陥っていました。
逃走しようとして建物の高所から飛び降りたり、階段から転落したりといった二次的な事故により、少なくとも3名が死亡したとされています。
さらに深刻なのは、人々の疑心暗鬼が暴力へと転化した点です。
ニューデリー近郊のガジアバードなどでは、「サドゥー(ヒンドゥー教の修行僧)がモンキーマンの正体ではないか」というデマが流布されました。
その結果、無実の修行僧や浮浪者、通りすがりの人物が「怪物に化けている」と疑われ、暴徒化した群衆によって私刑を受け、命を落とす事件が複数発生しています。
当時の警察記録や報道でも、こうしたパニックによる二次被害が大きく取り上げられており、この騒動が単なる怪異譚ではなく、現実の社会問題として拡大していたことが分かります。
(モンキーマン)
(警察によって描かれたモンキーマンの注意喚起イラスト)
― 証言が示す「あり得ない姿」 ―
合理的に考えれば、凶暴化したサルの見間違いという説明がまず浮かびます。
実際、インドにはハヌマンラングール(Semnopithecus entellus)やアカゲザル(Macaca mulatta)をはじめ、20種以上の霊長類が生息しています。
しかし、モンキーマンの目撃証言はそれら既知の動物とは大きく異なっていました。
報告によれば、上下とも軍服のような衣服を着用し、頭部には金属製のフルフェイスヘルメットを装着。
さらに手には金属製の鋭い爪を備え、その切れ味はナイフのようだったといわれています。
そのうえ、驚異的な俊敏性を持ち、建物から建物へと軽々と飛び移るなど、人間では到底対処できない運動能力を示したとされます。
一方で、衣服を着用していない状態では、黒い体毛に覆われたサルのように見えたという証言も存在します。
この極端なイメージの揺らぎ自体が、事態の異常さを物語っています。
― 誤認を生む「既存の物語」 ―
なぜ修行僧が疑われたのか。
その背景には、古くからの信仰や伝承が存在します。
インドでは、ヨギやサドゥーのような修行者が魔術を用いて動物に変身するというイメージが、長い歴史の中で語られてきました。
14世紀の旅行記にも、魔術師が獣に変じる存在が記録されており、こうした観念は決して新しいものではありません。
2001年の騒動において、人々は正体不明の怪物という恐怖を、この「変身する修行者」という既存の物語に当てはめて理解しようとしました。
その結果、現実の人間が怪物として認識されるという、歪んだ構図が生まれたのです。
― 突如として消えた怪異 ―
これほどの騒動でありながら、モンキーマンの目撃はある時期を境に急速に減少し、やがて完全に沈静化しました。
明確な捕獲例や決定的な証拠は、最後まで確認されていません。
ヘルメットや軍服を着用したサルの存在は現実的に考え難く、この現象は集団ヒステリーによって増幅された「都市型の怪異」と見るのが妥当でしょう。
ただし、その発端として、見慣れない霊長類が人里に現れた可能性までは否定できません。
現実の断片と、人々の恐怖が結びついたとき、都市は一夜にして怪物を生み出す。
モンキーマン騒動は、その典型例と言えるのかもしれません。
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調べたら翌年インドでムノチュワってUMAが出て大勢の人を襲ったようですが(多分これも集団ヒステリー)、なんかこの時期のインドって集団ヒステリーが起きやすい状況になっていたんですかね
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