20世紀以降でもっとも有名な妖精の目撃事件は「コティングリーの妖精 (Cottingley Fairies)」でしょう。
コティングリーの妖精事件は1917年、イングランド、ウェスト・ヨークシャー (West Yorkshire) にてエルシー・ライト (Elsie Wright) さんとフランシス・グリフィス (Frances Griffiths) さんの二人の少女が引き起こしたものです。
16歳と9歳の少女たちが撮影した「偽」の妖精写真に多くの大人たちが騙されました。
事件のもう少し詳細を知りたい方は「妖精のように飛び跳ねる二本足のキツネが撮影される」の記事を参照ください。
21世紀に入った現代でも妖精の目撃は散見されますが、さすがにコティングリーの妖精事件ほど大騒動になったものはありません。
そんな中、21世紀以降で現在のところ最大級の妖精目撃事件はアメリカ、アラバマ州で起きたクレイトン・レプラコーン (Crichton Leprechaun) 事件でしょう。
(レプラコーンのイメージ)
レプラコーンとはアイルランドの民間伝承に登場する妖精の一種です。
レプラコーンを簡単に紹介しましょう。
妖精には手のひらサイズで背中に蝶のような羽根を持ったタイプと羽根を持たず人間を小柄にしたタイプに大別できますが、レプラコーンは後者です。
基本的に髭を生やした「男性」として描かれ、女性 (に見えるタイプ) は存在しません。
緑で統一した帽子とジャケットを身に纏っていることが多いですが、伝わる地域によっては赤である場合もあります。
むしろもともと赤だったものが近年になって緑色になったともいわれています。
また、大きさは3フィート (約90センチ) と日本人が一般的に想像する妖精のイメージよりはるかに大柄なものも存在します。
と、レプラコーンの主な特徴はこんな感じです。
まあお伽話の登場人物以上のものではありません。
そんなレプラコーンが地元のアイルランド、せいぜいお隣のイギリスならまだしも、はるばるアメリカに現れたというのだから驚くでしょう。
前述のようにアラバマ州のクレイトンの木で目撃されたと噂になります。
現代において先進国のアメリカです、「妖精なんて」、、、と一笑に付されるかと思いきや、レプラコーンが現れたという木に連日人々が押し寄せ、小さな田舎町は突如人であふれかえります。
この様子はアメリカのテレビでニュースになったほどです。
冒頭のイラストは地元に住むニーナ・トーマス・ブラウン (Nina Thomas-Brown) さんによる目撃スケッチです。
全身像ではなく頭部のみのスケッチですが、レプラコーンの特徴のひとつであるハットを被っています。
もう一つの大きな特徴である髭は生やしておらず、子供っぽい印象を受けますね。
他にも地元では目撃したという人が多く、テレビでは大真面目にその目撃証言を語っています。
さてこのレプラコーン、聖パトリックの命日でアイルランドの祝日でもある聖パトリックデー (3月17日) と深いかかわりを持ちます。
最近ではハロウィンほどではありませんが、聖パトリックデーも日本に浸透してきており、その象徴的なものは「緑」であることを知っている人も多いでしょう。
聖パトリックデーに緑色の服を着ていない人は「つねってもいい」、という遊びがあり、そのためみな緑色の服を着ます。
これはレプラコーンが人間を「つねる」といういたずらをしますが、自身と同じ緑色の服を着ている人は見えなくなりいたずらができなくなることに由来するといいます。
聖パトリックデーのパレードは本国よりもむしろアメリカで大々的に行われており、レプラコーンもアメリカで浸透しているためアラバマで目撃されたというわけです。
今回のアラバマ・クレイトン・レプラコーンはYouTubeで広まったバイラル・ビデオ (ネット上で爆発的に広まった動画) ですが、アップされたのは2006年3月17日、そう、聖パトリックデーなんです。
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