■1977年に起きた宇宙クラゲのミステリー ~ ペトロザヴォーツク現象
『1977年の秋、北欧とロシアの空に“巨大なクラゲ”が浮かんだ。
科学者も軍も説明できないその光の正体は、今もなお議論の的だ」
大気圏を漂う発光体やプラズマ状の未確認存在は英語圏ではアトモスフェリック・ビースト (Atmospheric Beasts「大気圏の野獣」) と呼ばれ、その一種としてアトモスフェリック・ジェリーフィッシュ(Atmospheric Jellyfish「大気圏のクラゲ」)というクラゲ状の未確認飛行物体が語られています。
今回は、その中でも代表的な存在として知られるペトロザヴォーツク現象(Petrozavodsk phenomenon)を取り上げます。
ペトロザヴォーツクはロシア連邦カレリア共和国の首都で、この都市上空に現れたことから名づけられました。
― 未明の北欧とロシアに広がった光 ―
(実際のペトロザヴォーツクの謎の物体の写真)
ペトロザヴォーツク現象は、1977年9月20日の世界時午前1時から20分間、フィンランド周辺からロシア北西部にかけて広い範囲で観測されました。
西端と東側の観測地点には大きな時差があるため、現地時間は地域によって異なりますが、北欧やロシア西部では深夜から未明にかけて発生したとされます。
観測者の一人であるフィンランド、クルキヨキ(Kurkijoki)のエンジニア、A・ノボジーロフ(A. Novozhilov)氏は、高度300〜500メートル付近に「それ」が浮かんでいたと証言しています。
光はゆっくり移動し、時間とともに膨張して「葉巻型の飛行船」のような姿へ変化。移動しながら後部からいくつもの光球を放っていたといいます。
彼は大きさを直径12〜15メートル、長さ約100メートルと推定し、15分ほど観察したものの撮影は成功しませんでした。
― レンズ状の光体、クラゲ状の姿 ―
ソビエトの学者ユーリ・リンニック(Yuri Linnik)氏は望遠鏡での観察に成功し「レンズ状の内部からアメジストのような光を放ち、周囲には16個のノズルが赤い光を出していた」と証言しています。
観察は15分ほど続き、物体は北の空へ消えました。
一方、ペトロザヴォーツクの気象関係者ユーリ・グロモフ(Yuri Gromov)氏は「楕円形のリング状の物体が細い光を降り注ぎ、クラゲのような形になった」と語り、その正体が知的生命体を乗せた宇宙船である可能性にも触れています。
自然現象か人工物か――
この光に生命性を感じたと断言する証言は多くありませんでしたが、人工的な何かと見た人は少なくなく、「ペトロザヴォーツクUFO」と呼ばれることもあります。
― いまだ解明されぬ「宇宙クラゲ」 ―
結論から言えば、その正体は今日まで解明されていません。
有力とされる説の一つに、ソビエトが打ち上げた電子情報収集衛星コスモス955号(ELINT衛星)が関連しているというものがあります。
ただし、物体の移動方向とは整合しない点があり、確定的とはいえません(衛星ノズル噴射を逆方向と誤認したという解釈もあります)。
他には弾道ミサイル試験の残骸説、オーロラ説などが挙げられましたが、いずれも完全な説明とはなりません。
ただ――
あの夜空に浮かんだ光が、もしかすると「生きていた」という可能性を、私たちはまだ完全には否定しきれていないのかもしれません。
未明の空に漂った巨大なクラゲのような光。それは今もなお、人類が知らない何かの存在をそっと示しているのかもしれません。
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