■17世紀、オランダで捕獲された謎の生物 ~ スケベニンゲンの野獣
今回はスケベニンゲンの野獣 (Scheveningen beast)。
実際のところ、正式な呼び名はありません。
オランダ語で単に「海の怪物 (シー・モンスター)」と呼ばれているものです。
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1661年11月15日、土曜日、スヘフェニンゲン (スケベニンゲン) とカトウェイク間の海で謎の生物が捕獲された。
体長は1フィート半 (約45センチメートル) ほど、イノシシのような非常に奇妙な頭部、大きな真珠を思わせる角、鷲のような首、そしてモノを掴めそうな8本の尾は奇妙な球根状の体から伸びている。
前述の尾の長さは1フィート (約30センチメートル) ほど、「ネズミ」のような翼が2つある。
この怪物は学識ある教授たちに引き渡され、現在はライデンの医学教授、ヨアンネス・ファン・ブルーネ (Joannnes van Broune) 博士が所持している。
同教授の曰く、その怪物は奇跡的なほど素晴らしい、耳は伸びてしまったが溶けてしまったわけではなく、潰れてしまっただけだ。
この怪物を見たものは驚きを隠せないだろうが、この怪物に関する情報が載っている著作物は存在はするようだ。
であるから、この奇妙な姿の怪物をほとんどの人々は説明不可能だろうが、好奇心旺盛な人々にとっては一見の価値があるだろう。
この奇跡の怪物は、現在、私の知人の保安官の許可を得て展示されているため、興味があれば少額の見物料で観覧できる。
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時代を感じさせる素晴らしい挿絵付きの記事です。
この挿絵から頭足類であることは確実、イカ (ツツイカ) の仲間ですね。
8本の「尾」は実際は「腕 (足)」であり、で、イカは10本腕なので2本足りないのでは?
しかしよく見ると、8本の「尾」よりかなり長い2本の「触腕」が体 (外套) の方に伸びているのが確認できます。
具体的な大きさが載っており、体 (外套) が45センチ + 尾が30センチ、全長75センチですが「触腕」は体 (外套) よりも長いので実質1メートル前後といったところですね。
「頭部」がイノシシに似ているというのも面白い表現ですね。
イカの種類まではもちろん分かりませんが、ダイオウイカ (Architeuthis dux) やダイオウホウズキイカ (Mesonychoteuthis hamiltoni) のようなとんでもない大きさをしているわけではなく、無難に考えるとヨーロッパオオヤリイカ (Loligo vulgaris) でしょうか。
最大クラスのヨーロッパオオヤリイカには、外套は約94センチメートルという記録があり、腕を含めれば1.5メートル超も期待できます。
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当時のオランダではタコやイカを見た事ない人が多かったのでしょうね。
返信削除しかしスケベニンゲンって…