■鳴りやまない口笛
今回はグリッチ・イン・ザ・マトリックスのお話。(グリッチ・イン・ザ・マトリックスの詳細についてはこちらをどうぞ)
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12年ぐらい前 (2013年ごろ)、私が17歳で妹が7、8歳の頃です。
妹はその記憶がほとんどありませんが、私はよく覚えています、というのも、いまだにそのことを頻繁に思い出すからです。
私のような懐疑主義的な人間にとって説明のできない事象・経験はとても不安な気持ちにさせます。
その日は夏休みで、両親は二人とも仕事で家を空けていたので、私は妹のベビーシッター役でした。
もう一人、2歳年下の妹がいますがその日は彼女も外出していました。
私たち家族はシカゴの古いアパート (ダウンタウンハウス) の2階に住んでいました。
正面玄関と裏口はどちらもキッチンに繋がっていました。
私と妹はリビングにおり、私はテレビを、彼女はテレビゲームをしていました。
妹はゲームで負けそうになっており、当時、彼女はゲームで負けそうになると口汚い言葉を吐く癖がありました。
ふだんとても行儀のいい子なのですが、ゲームで負けそうになると汚い言葉を使ってしまうのです。
両親はそれをよく思ってなく、妹が汚い言葉を使うとその癖を直すため「はい、ゲームオーバー」といってゲームを取り上げていました。
私は両親の真似をして彼女からゲームを取り上げ、キッチンの椅子に5分間座らせるペナルティを課すことにしました。
しかし私はテレビに夢中になって彼女にペナルティを課したことをすっかり忘れてしまい、番組が終わるまで40分以上彼女を放置してしまいました。
妹に謝らないと、と思いキッチンに向かいましたがとてもいやな気分になりました。
キッチンに近付くと思いがけないことが起こりました。
口笛が聞こえてきたのです。
それは2つの意味で奇妙な出来事でした、ひとつは彼女が口笛を吹いているところを今まで見たことが無かったから、そしてもうひとつはその口笛がちゃんとしたメロディを奏でていたことです。
あまりに長い間、妹を放置してしまったために、口笛を吹く方法を自分で思いついたのかとも思いましたが、その口笛を聞いていて何かおかしいと思い始めました。
どう聞いてもその音は妹の口笛には聞こえなかったからです。
もっと年を取った人が口笛を吹いているような音、、、いや、それは馴染みのある音で、それはまさに父が口笛を吹いているようでした。
父は仕事を終えて帰宅すると裏口から入ってくるので、もしかして父はいつもより早く帰宅したのかも、、、いや、そんなことはありえません、その時間は父がいつも帰宅するより3~4時間も早い時間だったからです。
ですが、その口笛の音は驚くほど父親のそれに似ていました、音程、リズム、その雰囲気、、、まさに父の口笛です。
私はキッチンに行くのを少しためらいました、というのも、妹がキッチンに長い時間放置されたことを父親に告げたら、おそらく私は叱責されるに違いないと思ったからです。
おそらく妹と父親がいるであろうキッチンにそっと覗くように頭を入れました、、、しかしそこに父の姿はなく、その代わりキッチンのテーブルにもたれかかってぐっすり眠っている妹がいました。
口笛は鳴り続けていました、口笛はキッチンの空間から発生しており、キッチン中に響き渡っていました。
決して外から漏れ聞こえてきたものではなく、キッチンの中で鳴っていました。
どれぐらい経ったのか、、、定かではありません、この口笛を理解しようと私は茫然とそこに立ち尽くしていたからです。
私は意を決し、原因を探ろうと裏口まで走りドアを開けました。
そこに誰かが立っていて口笛を吹いているのを期待しましたが、期待は裏切られました。
今度は窓を開け家の付近を見回しましたがやはり誰もいません。
その間中、不気味な口笛の音は止むことはありませんでした。
裏口を開け外に出ても、そして戻ってきた時も、口笛はずっとキッチンの中で鳴り響いていました。
かといって口笛は私を追いかけまわしているわけではなく、ずっとキッチンの中だけで鳴り響いていました。
私はパニックなり、妹を起こさないようにそっと抱きかかえ、通りの向こうにある友人宅まで走り、母が帰宅するまでそこで過ごしました。
目を覚ました妹にそのことを話すと、妹はキョトンとし、私が何を言っているのか理解できなかったようで特に気に留める様子もありませんでした。
妹のその反応で私は更にパニックになりました、自分の頭がおかしくなったのかと思ったからです。
私はもう一人の妹にも父親にもこのことは話しませんでした。
しかしもっと奇妙なことが起こったのはそれから数日後のことです、父親は仕事を終え裏口から入ってきたのですが、口笛を吹きながら帰ってきたのです、そうあの数日前に聞いた全く同じメロディーを奏でながら。
まったく理解不能です。ありとあらゆる方法で論理的な答えを導き出そうとしましたが、うまく説明のつくものは思い浮かびませんでした。
あの時聞いた口笛は決して何かが反響した音ではなく、外にいる誰かが吹いたものでもなく、そして妹のものでもありませんでした。
それ以来このことは誰にも話さずにずっと過ごしてきました。
ですが、現在までずっとこのことを考えています。
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